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CAGE6:止まない愛情1にしおりをはさみました!
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CAGE6:止まない愛情1
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誰も何も言えず、全員の注目が青年に集まる。
そんな視線など青年はどうでもいいようで、身体に回ってた手が首元まで上がってくる。
「……おい」
「ね?僕のこと抱いてください。」
首に回りきった腕が身体を引き寄せようとした所で、力ずくでその腕を引き剥がす。
「…いい加減にしろ。」
掴んでいた腕を離して青年を突き放す。
青年は首を傾げて俺を見る。
「どうして?」
「………?」
「どうしてダメなの?」
無表情のまま青年は問う。
それからゆっくりと左手を上げると、指先が直を差した。
「その人の事は抱くのに、どうして僕はダメなの?」
「え……!?」
驚きの声を上げたのは頬を朱に染めた直だ。
「……俺達の事をどう知ったのかは知らないが、コイツは特別だ。だから抱く。コイツ以外、抱く気はない。」
「ちょっ、洋さん……!」
更に赤く頬を染めた直は俺の服の袖を掴んだ。
対して青年は顔色一つ変えず、未だ首を傾げたままだ。
「僕にとっても洋さんは特別です。どう違うんですか?」
「……俺にとっては特別じゃない。」
「じゃあどうすれば特別にしてくれますか?」
「……特別には出来ない。」
青年は上げていた左手を下げると、少し思案し、上月の方へ振り返った。
「では、改めて依頼します。倉橋 洋さんの恋人にしてください。」
「はぁ……だそうだよ、倉橋くん。」
深いため息をついた上月が俺を見る。
「……無理に決まってる。何なんだ、ソイツ。」
「だよねぇ。そう訊かれても困るなぁ。突然訪ねてきたかと思えば、ずっとこの調子なんだ。」
上月も困ったように眉を寄せ、肩を竦めた。
「まあ倉橋くんもああ言ってるし、諦めてくれないかな?」
「嫌です。ここ何でも屋なんですよね?」
「そうなんだけど人の気持ちまではコントロール出来ないよ。人は諦めも肝心。」
「嫌です。」
見た目と反して意思は強いらしい。
埒が明かないな。
服裾を掴んでいた直の手を取り、踵を返す。
「洋さん?」
「……帰る。報告は日を改める。」
ドアノブに手をかけた瞬間、グッと身体を引き戻される。
首だけを振り向かせれば案の定青年が俺の服を掴んでいた。
「……離せ。」
「一緒に行きます。」
「……いい加減にしろ、殴るぞ。」
ダメですよ!と慌てたような直の声が聞こえたが、青年は表情を崩すことなく、また手も離さない。
「いいですよ。洋さんが傷を付けてくれるなら受け入れます。」
何なんだ、コイツ……。
睨み付けても動じる様子は全くない。
これ以上は無駄な時間だ。
繋いでいた直の手を強く握り直して、事務所を後にする。
青年の手も離れず、無言のまま俺達の後を追ってきた。
「どうするんですか?」
心配そうに直は言う。
「……放っておく。くだらない冗談に付き合っていられない。」
「冗談……だと良いんですが……」
チラッと後ろを見た直は不安に顔を歪めた。
「……直」
「はい…」
「……愛してる。」
「なっ……貴方はまたそう言うことを…」
面と向かって言われることに未だ慣れない直は面白いぐらい反応を返す。
「人がいる前ではやめてください…恥ずかしいです。」
「……俺は平気だ。恥じることじゃない。」
そんな俺達の会話を青年は終始首を傾げ見ていた。
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