アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
CAGE6:止まない愛情37にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
CAGE6:止まない愛情37
-
一瞬、ほんの僅かに美柴が俺を見下ろした。
何だ?何を見た?
俺の、手…………?
「僕は洋さんが羨ましかった。少なからず僕は貴方に求められることを嬉しくて思っていた。きっと僕が持っていた唯一の愛だったから。」
「…………………」
「今なら分かります。貴方が洋さんに向けるそれは本当に愛ですか?」
その刹那、美柴の手から突き付けていたナイフが落下する。
柄を重心にして落ちたそれは床上の俺の掌へと滑り込んだ。
出せるだけの力で握り込み、腕を振り上げて、上に跨がる男の腕に刃先を滑らせた。
「チッ…………」
流れ出る血を押さえながら男は俺の上から退いていく。
「大丈夫ですか?」
同じタイミングで美柴が俺の身体を起こし、傍らに膝をついた。
「ああ、助かった。」
視界は依然として揺れていて、バランスが取りにくい。
身体を支える美柴の手でさえ刺激になる。
「全く………他人であるお前が余計な口出しをするな。」
こんなにも怒りを露にした男の顔を見たことがあっただろうか?
「確かに僕は他人ですが、傍に居た時間は洋さんよりも長い。貴方が洋さんに固執するのは、弟さんによく似ているからではないですか?」
男は肩を揺らし、俺は眉をひそめた。
弟……?
「貴方がいつも大切に持っている写真。写っているのは若い頃の貴方と貴方よりも幼い青年、貴方の弟さんですよね?」
「…………………」
「彼は洋さんによく似てた。一度だけ見かけたことがあります。愛しそうに写真に口付けている貴方を。」
ああ、なるほど。だから……
アイツはいつも俺を完璧だと称すのか。
俺とソイツを重ねて見て、つまりは俺も……。
「ソイツの身代わりだったってわけだ。」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
267 / 269