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失望にしおりをはさみました!
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失望
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だが、そんな淡い希望はすぐに失望へと変えられてしまった。
ソワールが恍惚とした眼差しで言い放った、
「俺はずっと探してたんだ。俺が唯一愛した女性を生き返らせる事が出来る、ヴァンパイアという存在を―――」
という言葉に。
ソワールが必要としていたのは俺自身ではなく、純血のヴァンパイアとしての能力だった事で、
俺の彼への興味は完全に消え失せ、失望し、憎いとさえ思った。
意味も無く、昏い感情が心を侵食していく。
「ヴァンパイアなんて、他に幾らでもいるだろう。俺の君への興味は失せた。さっさと立ち去れ。」
そう言い放ち、棺桶の中で再び眠りに就こうとした。
「待てよ!あんたにも悪い話じゃない!」
「なんだ。まだ話すことがあるのか。」
眠ろうとしているのを無理に遮られ、自然と投げる言葉に棘が混じる。
「俺の血をあんたにやる!幾らでも!」
「何を言い出すかと思えば…」
思わず呆れてしまった。
構わずソワールは言葉を続ける。
「純血のヴァンパイアは!人間の血を飲めば半日は陽の下でも生きられるそうじゃないか!」
既に俺の心は冷え切っていた。取り合う心算も無い。
「だからどうした。さっきも言ったが、俺の君への興味は失せた。早く出て行け。」
言って棺桶の蓋を閉め、仄暗い闇へと、意識を沈めていった。
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