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親衛隊にしおりをはさみました!
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親衛隊
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「・・・・俺の親衛隊?」
この学校には妙な風習があり、人気のある生徒には親衛隊ができる。
かくいう俺にもあったりするわけだが。
なんでも俺は第三者からみてイケメンの部類に入るらしい。
親衛隊が作られたのは自然の摂理だと友人達は言う。
つかその友人ってこの2人なんだけど。
因みに同室者の清都にも親衛隊がある。
奴の人気は異常だと思う。
常に大勢の人間に囲まれ、奴が歩くと人垣が移動する。
なんでも奴には人を魅了するフェロモンみたいなもんが出ているらしい。
勿論これは俺自身が感じたことじゃなくて奴のファンが言っていたことだ。
それに加えてあの容姿だ。
モテないはずがない。
実のところ奴のああいった場面に遭遇するのははじめてじゃない。
過去にも何度か目撃したことがある。
人の情事を見るなんてけして気持ちのいいことではないけどな。
あいつにももう何度も注意してるんだが、聞きやしないし、むしろ注意すればするほど頻度は多くなるばかり。
勘弁してくれ。
って、ちょっと待て、俺の親衛隊ってことは。
「おかしくないか?」
「は?」
「なにが?」
それまで頭の中だけで考えていた疑問がするりと口から溢れてしまった。
当然俺の思考なんて読めるはずもない悠治と春一は不思議そうな顔をする。
それに気付いても口から出てしまったものはどうすることもできず、例え誤魔化したとしても追及されるのは目に見えている。
そもそも俺は嘘が苦手なんだ。
絶対にバレる自信がある。
だから昨日のことを端から端まで全てを話した。
「・・・・・それはまた災難だったな」
「・・・・・・・ねぇ、それ変じゃない?」
「変ってなにが」
「だってアレは大和の親衛隊に入ってるんだよ?それが同室だからって嵐山とヤってるなんてどう考えてもおかしいじゃん」
「確かにな、だったらなんでだ?」
「そんなこと知らないよ。あの性悪の考えなんか」
「つか、あいつこっち来るっぽくね?」
悠治の言葉にその方を見るとその子(俺の親衛隊らしい)が少し恥ずかしそうにハニカミながら俺達の方に向かって小走りでやってきた。
「よかったっ、まだ帰られてなかったんですね!僕立嶺様に謝りたくて、あのっ、あのっ、昨日はお見苦しいところをお見せしてしまって、その、すみませんでした!!」
そう言って勢いよく頭を下げる大淵。
教室に残ってた奴等がなんだなんだと不思議そうな顔で此方を見る。
一気に注目の的になったことに不快感を覚えおもわず眉をひそめた。
それは悠治と春一も同じだったようでものすごい顔で大淵を見ていた。
「いや、別に気にしてはいない。それより此方こそ悪かったな。あの後無事に帰れたか?」
「はい・・・・・・・あの、本当に申し訳ありませんでした。立嶺様に、嫌われてしまったんじゃないかって、僕っ、僕っ・・・・」
大淵は恐る恐る顔を上げ、その手は俺の制服の裾を細い指先でどこか心細そうに握りしめていた。
大淵は小柄で身長も俺の方が高いわけで、必然的にその視線は所謂上目使いと言われるものになる。
「ぼくっ・・・・・ぼくっ・・・・」
俺を見上げるその瞳には徐々に水の膜が張りちょっとでも振動を加えればたちまち溢れてしまいそうだ。
「・・・・あー、大淵だったか」
「僕の名前知っててくれたんですね!嬉しいです!」
ぱぁと先程までの悲しげな雰囲気から一転、顔を綻ばせ声を弾ませる。
「そ、それではこの後お時間とかあったりしますか?今日はこれで終わりですし、僕とお茶でもどうですか?下界に美味しいカフェがあるんですよ。きっと立嶺様のお口に合うと思います。ねぇ、一緒にどうですか?」
そう言いながら体を擦り寄せてくる。
どうしたものかと目線で2人に助けを求めればなんとも微妙な顔をしていた。
なんというか残念な者を見る目というか、例えるなら自分が迷子になったにもかかわらず、慌てて駆けつけた親に対して「もぉ、どこ行ってたの?心配したじゃん。大人なんだからしっかりしてよ」と言う子供を見るような。
例えが可笑しいのはしょうがない。
それしか浮かばなかったんだから。
これしか浮かばないってのも問題だけど。
ってかどうしたらいいんだ?この場合。
「あ、いたいた。もぉこんなとこで何してたの?探しちゃったじゃん」
いったいどうやってこの状況に対処しようかと本気で悩んでいたら、能天気な声とともにその肩に腕がまわされた。
「俺ずっと待ってたんだから。ね、帰ろ?」
「え、ぁ、は?」
「ほらほら行くよ」
「は、あ?ちょ、っと~・・・・!!」
甲高い声を残し消えた大淵ともうとっくに帰ったと思ってた清都を唖然と見送った。
「・・・・・・なんだ?あれ」
「なんだろう」
「・・・・・・・・」
「まっ、いっかなんでも。それより帰ろうぜ」
「そうだね」
「ほら、大和行くぞ」
「あ、ああ」
「ねぇ、やっぱりどっか寄り道していこうよ」
「お前そればっかだな。それより俺の部屋でゲームやろうぜ。新作やっと届いたんだ。本当に辺鄙過ぎてヤになるぜ」
楽しく話ながら前を行く2人の会話も耳に入らない。
あれはなんだったんだ?
汐らしかったと思ったら急に大胆になった大淵もそうだが、それよりなによりいきなり現れ一言二言話すだけ話して大淵と共に消えた清都。
なんだったんだ?
疑問は消化されることなく俺の中でぐずぐずと燻り続ける。
大淵の肩を抱きながらもずっと注がれ続けた視線が頭にこびりついて離れない。
本当に昨日から意味が分からないことばっかりだ。
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