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結局、一人で行動するなときつく言い含められた。
別に一人で対処できるから構わないのに。
「俺が人並みに強いこと知ってるだろ...」
そう文句をたれても横に立つ幹は黙殺。
「委員会の仕事に無理して付き合わなくてもいいのに」
「人気のない図書室なんて狙ってくださいとしか受け取れねぇよ」
銀髪をなびかせて歩く幹を恨めしく睨んでみる。
が、無表情を崩さない幹にそうそうに諦めた。
銀色の瞳は俺を映さず、とっとと空いてる机に腰掛けた。
校舎にある図書室は人気がない。
敷地内にある図書館の方が本の揃えがいいし、とても広いからだ。図書委員なんてのは殆ど仕事をしない。
司書が全て行ってくれるので、昼休みや放課後のカウンターの貸し出し業務や整理整頓くらいなもの。
だが、これも司書さんがやってくれる。
ただ、一週間に一度、金曜日だけは図書館の方に用事があるらしく図書委員が呼ばれる。
が、仕事をしたくない人間が図書委員に属するので、必然的に委員長である俺が行うしかないのだ。
ついでに、図書館を利用する人間なんて俺しかいないようなもので、ここは司書さんと俺の好みの本が集まっている。
「金曜いつもいねぇの、これかよ」
「委員長なもんで。一応ね」
適当に引き抜いたであろう本をペラリとめくる幹。
こいつが本読むとことかあんまし見ない、レアだな。
「つまんないだろ?」
「そーでもねぇ」
「あっそ」
カウンター内のPCを起動する。
ほとんど起動するだけで終わる機械なのに、最新機種なのはやはりここが金持ちの学校だからだろう。
貸出プログラムを起動させて、そのまま放置する。
「お前は時々わからないな」
大人しく本を読んでいると、急に話を振られた。
てっきり本に向いていると思った銀色が、俺を見ていて。
オオカミみたいだな、なんて思ってしまった。
「わからないって、何が?」
「表情がよく出るのに、肝心なとこ見せないよな」
肝心なところ?
幹にとって肝心なところとは何処なのだろうか。
「よく話が見えないんだが」
「時々人形みたいだと、言いたいんだ」
ぶっ飛びすぎでは。
と言うか本当に見えないんだが。どうしてこういう会話になった。
首をかしげて見せれば、別に気にするな、と笑われる。
本当に謎だ。気にするなというなら意味深な発言をするなよ。逆に気になるだろうが。
視線は再び文字をつまらなそうに追っていて。
特に会話を掘り下げる様子はない。
仕方が無いので、再び本に視線を向ける。
「...俺は、人間だっつうの」
「知ってるよ、人形が自立して勝手に歩いてたらホラーだろうが」
独りごちてみれば、くすりと笑いを含んだ返答が帰ってきた。でも視線は感じない。
「怖いの」
「怖くねーな、お前の外見だと尚更」
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