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104にしおりをはさみました!
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104
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逢坂はいつになく、真剣な目をしていた。
男ははっと鼻で笑うと、視線を下へと落とした。
「…知らねえ」
「……しらばっくれる気?」
逢坂が、男の目の前に鈴を突き付ける。
が、男は動じず、小さく首を横に振るだけ。
「…言えよ、知ってるんだろう」
「…しつこいな、知らねえっつってんだろ」
「……っふざけるな」
逢坂の右手が、男の頰を叩く。
衝撃で倒れた男を、逢坂は荒い呼吸を繰り返しながら、冷酷な目で見下ろす。
「言えよ。…あいつの場所」
「……あの方に会って、どうするつもりだ」
は、と逢坂の唇から、乾いた笑いが漏れる。
「…どうするつもりかって?…決まってるだろう」
底の見えない真っ黒な瞳に、ぞわりと背筋に悪寒が走る。
「ーー殺すんだ」
「……っ」
逢坂に対して初めて、恐怖を抱いた。
同時に、その瞳の矛先が、自分じゃなくて良かったと思った。
「…はは、殺すって…?」
男は愉しげに笑いながら、じっと逢坂を見上げた。
「……あんたは、あの方を殺せないよ。…絶対にな」
「…何とでも言え。…俺は、この手であいつを殺す」
暫く、男と逢坂との間で、睨み合いが続く。
長い間の後、先に視線を外したのは、…男の方だった。
男は口角を吊り上げたまま、右手をすっと持ち上げ……その人差し指を、俺の方に向けた。
「…そんなに知りたきゃ、あいつに聞けよ。…俺は本当に知らねえんだよ」
「は…?」
突然、話の矛先が自分の方へ向いたことに戸惑いながらも、慌てて首を横に振る。
「ち、違う、っ俺は何も…!」
「……どういうこと…?」
逢坂の視線が、男から自分へと、移ろう。
目が合うと、逢坂は目を細め、怪訝そうに見つめてくる。
「…君、まさか…こいつと」
「っそんなわけないだろ!俺は関係ない、何も知らない…!」
「……信じたい、けど」
逢坂はどうしていいか分からない、といったように眉を寄せ、男へと視線を戻す。
「…教えて。林野君とあいつには、…何か関係があるの?」
「あるさ、…大いにな」
男はふっと軽く笑うと、勿体をつけながら、ゆっくりと口を開く。
「…だって、あの方とそいつは……」
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