アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
・にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
・
-
・・・あなたに逢えるのをずっと、ずっと待ってた。さぁ、目を開けて。そして私を──・・・
「────っ!!」
女の人の声が霞んでゆき、辺り一面が白く輝く。
それはとても眩しくて暖かい光だった。
「……夢……」
その暖かさは太陽のものらしい。
黒いカーテンの隙間から射すその光は細く、俺の顔から上体にかけて照らしている。
ここは……?
「良い夢だったか?」
「っ!黒、梓…」
白いベッドから飛び起きて周りを見回せば、悠々とソファーに掛けて俺を見据える男がいた。
この声にその笑み……。こいつは森で会ったあの男だ。
「ここは……」
「俺の屋敷だ。余程疲れていたようだな。日が昇るまで一度も起きなかったが…、なかなか面白い寝言だった。飽きなかったよ」
こいつの嫌味な言い方に恥ずかしさと苛立ちが込み上げ、俺はこの男を睨んだ。
「どうして俺を連れてきたんだ!?放っておいても…良かっただろ」
「どう…とは?決まりきった事を聞くな。仲間を助けるのは当然だろう?」
「っ……、俺は……本当に黒梓なのか…?」
「ああ、半分はな。そして何より、貴重な白羅の生き残りでもある。貴様には清々働いてもらおうか────その命が尽きるまで。」
「…!!」
冷たく鋭い男の声にゾクッと背筋が震える。
こいつは何を考えてる?俺は魔法なんて使えない役立たずだ。
そんな俺に何をさせようと…………っ!!
「魔力か…」
「ご名答。飛ぶ事すらできない貴様如きが他に何の役に立つ?」
男は一切の慈悲を持ち合わせていない深く黒い目で俺を見つめた。
目を逸らしたいのに逸らすのが怖い。
そんな威圧感に苛まれて困惑する俺に男は浅く笑い、ベッドに近付く。
「俺の為に魔力を捧げろ。そうすればお前に生きる時間を授けてやる。この俺の役に立てるのだ、喜べ」
「ッふざけるな!俺はあんたの役になんか…!今すぐ…ここで殺せよ!!」
「……。貴様は何か勘違いをしているようだ。俺は頼んだ訳ではない、これは命令だ。それに俺は、貴様の命を奪うつもりなど毛頭ない。この世で唯一の、血を分けた可愛い弟だからな」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
94 / 118