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鎌倉路にしおりをはさみました!
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鎌倉路
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平泉から鎌倉まで、私たちの時代は二十二日かかるのが常で、早馬飛ばしても十日ほど。
あなたがたの時代には、三刻ほどの距離だそうで、私たちなら目を回してしまうだろう。
人がふつうに歩いて一刻八里。
三刻歩き通せたとしても二十四里。
六十六刻不断に歩き通せるわけでもなく、数里行っては一休み、食休み、狩りや水場探しもする、夜は毎度毎度野宿とも行かぬ。
旅籠に逗留してもみるし、温泉骨休めもたまにする。
気はせくが、結局まるまる二十日かかってしまった。
その間に私の直の長兄、今若改め阿野全成が、頼朝兄上にお目文字したという。
ものすごく歓待されたという。
義経様も急ぎお目文字を。
といわれても、今から急いでも今若兄上を追い越せるわけでなし。
これは出遅れなのだろうか。
そして中の兄上、乙若兄上は、どうされているのであろう。
義円という名の僧侶になっているらしきことは聞いている。
だが、今若兄上とともに、連れだって頼朝兄上に合流したとは聞いていない。
我ら三兄弟、別々の寺に預けられたため、互いのことがそもそも全然わかっていない。
何より頼朝兄上を、父上様の名代と考えるのは正しいのか、間違いないのか?
木曽の源義仲殿や、まず最初に令旨を諸将に伝え歩いた源行家殿、そうした方々が、棟梁でもよいのではないか?
そんなこんなを考え始めたら、
正統
とはなんぞやというあたりまで考えが行ってしまって、私はいささか混乱してしまった。
事は都に端を発しているのに、なぜ私は鎌倉に向かっているのだ?
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