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7話(5/5)にしおりをはさみました!
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7話(5/5)
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返されたばかりの小テストの結果は88点の千尋に対して安定の100点を叩きつけた居眠りする流の頭に答案を叩きつけるように乗せた。
寝ているからって渡して来いとか、そもそも寝ていたら駄目だろう。
「い……ってー」
「寝てる流が悪い。なんでオレが先生にまでパシリにされんきゃいけねーんだよ」
欠伸をし、もう一度寝ようと試みる流だが、千尋の目線に気付いて顔を上げた。
「あんだよ」
「いや、別に……」
昨日、奏が幼い頃虐待を受けていたと聞いてからそれが頭から離れずにいる。
経験のない事はどう頑張っても想像が出来なくて。
昔からの知り合いなら何か知っているんじゃないかと思ったのだが、知らなかった場合バラしてしまう事になる。
それは駄目だろう、と結局もやもやを続けるしかない。
「変な奴」
「うるせーっての」
チャイムが鳴り、4限目が終わる。
つまり嬉しい昼休みの開始だ。
途端に騒がしくなる教室内に自分も何だか騒ぎたくなってくる。
「流ー、飲み物買いに……って、もういねーし!」
財布を片手に急いで廊下に出る。
かったるそうに歩く背中を見つけ直ぐその隣に並ぶ。
「売店行くなら誘えよな」
「お前弁当あんだろ」
「飲み物は買わねーとないんだよ」
「あっそ」
冷たい言葉だけれど、嫌だとかそういった事を言わない辺り、本当はそこまで嫌じゃないと分かる。
(相変わらずだな)
「なに笑ってんだよ」
「べっつにー。……あれ、カナ先輩じゃね?」
「奏ー?」
奏の名前を聞いた途端に目つきが険しくなる。
そんなに嫌いなのか。
目線の先には間違いなく奏の後姿が。
だが、その奏の目の前には二人の男子生徒がいる。
いかにも真面目と取れる見た目の生徒だ。
「もしかして仕返しじゃ、」
「仕返し?奏がされるって話なら大間違いだぜ」
「でも昨日校則違反を注意して突き飛ばされて怪我までしたんだぞ!?」
焦る千尋とは裏腹に落ち着きまくっている流に苛立ってくる。
(心配じゃないってゆーのかよ)
「むしろ仕返ししてんの、奏の方だしな」
「なんだよそれ」
全く意味が分からない。
そうこうしている間に男子生徒二人が慌ててその場から逃げるように走り去っていくと、こちらに気が付いた奏が手を振りながら駆け寄ってきた。
「ちーちゃん!……と、アホ流も一緒かよ。ちーちゃんから離れて歩けよ、穢れちゃうだろ」
「誰がアホだ、このボケ奏。つーかコイツが勝手についてきてんだよ」
「でも嫌って言わないよな」
千尋の一言に顔が赤くなると、すかさず奏がそれをネタにしてからかい始める。
(仲いいな。やっぱり)
「つーかお前ももうちょっと人目につかねーとこでやれよ」
「そんなの僕の勝手だろ。大体あいつ等が悪いんだしさ」
急に小声で話し始める二人に首を傾げる。
しかもチラチラとこちらの顔を覗いてくるので取りあえず、と手を振っておく。
「新入りだから珍しさもあんだろうな」
「は?何言ってんの?ちーちゃんが可愛いからに決まってんじゃん。そんなのも分からないなんてやっぱ流って馬鹿だな、バ・カ」
「何度も馬鹿馬鹿言ってんじゃねーよ!!」
私立のこの学校に途中から入学する生徒は少ない。
なので千尋のような生徒には知らないことがまだまだ沢山ある。
見た目や人気のある生徒は写真を取られ、しかもそれが秘密のルートでのみ手に入れられる事を。
そして奏が注意した生徒が千尋を隠し撮りしようとしていたから注意し、怪我をさせられた腹いせに本人達しか知りえないネタをバラすと脅迫していたことも千尋は知らないまま。
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