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5話(1/4)にしおりをはさみました!
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5話(1/4)
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入学式から二週間が経とうとしている。
本格的に授業も始まり、新しい環境にも慣れてきたのだが、千尋は男子校の凄さを身をもって知った。
「斉藤ー、一緒に音楽室行こうぜ」
「あー……悪りぃ、職員室に行かないとダメでさ」
「そっか。分かった、遅刻すんなよ」
誘ってくれたクラスメートに手を振って重たい息を吐く。
どうしてだが移動教室やトイレや屋上に一緒に行かないかとしょっちゅう声を掛けられる。
仲良くなるきっかけを相手が作っているのかもしれないが、生憎千尋にその意思は無いので、今みたいに嘘をついて自ら遠ざかってる。
他にも遠ざかる理由として上級生とすれ違った際に急に尻を撫でられ、一発どうかと誘われた。
冗談だったかもしれないけれど浮かべた笑みが本気の目で怒るよりも先にもちろん逃げた、全力で。
確かに自分は女に間違われるけれど、まさかそんな風な事を言われるなんて思いもしなかった。
いくら男ばかりで飢えているからってそれってどうなんだ、と激しく思う。
……治療だからって慶一に襲われた自分が言うのも何だけれど。
その一件以来、一応警戒はしている。見学に来たときはそんな事が起こるなんて考えもしなかったのに、男子校って怖い。
「やっば、早く行かねーと」
時計を見ると授業開始まで5分しかない。
教科書を持って慌てて廊下に出た瞬間、パックの飲料を飲みながら歩く流に出くわした。
「よ……よぉ」
「…………」
声を掛けたのに流はくるりと踵を返して今来た道を歩いて行ってしまった。
(そっちは音楽室と反対……)
またサボる気でいるのだろうか。
流が真面目に授業を受けている姿はまだ一度も見ていない。
教室にいても寝てるか携帯を弄っているぐらいだ。
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