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8話(4/4)にしおりをはさみました!
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8話(4/4)
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「どういう事なんですか!?」
勢いのままテーブルを叩くと紅茶が入ったカップがカチャンと鳴る。
一瞬割れなくて良かった、なんて安心して直ぐにまた慶一に向きなおした。
「どういうって……先生になりました、とか?」
「そんなのは分かってるんですよ!」
学校が終わって帰宅した千尋は玄関先で慶一の帰りを待った。
夕食までもうすぐ、といった時間に帰宅した慶一をとっ捕まえて共有スペースに引きずり込んだ。
そうして刑事ドラマさながらな事情聴取中である。
聞き出す内容は勿論、一体どんな手を使って学校の教師として潜り込んだかだ。
いくら親戚が経営者だからってそんな簡単に今日から先生として宜しく、なんて事があるのか。
というか許されるものじゃないだろう。
「あのねちーちゃん。慶一さん、前にも先生として学校に来てたことあるんだよ」
「そうだから……って、え?」
夕食だよ、と部屋に呼びに来た奏がさらりと告げた。
「なにそれ……良く分からないんですけど」
「慶一さん言ってなかったんですか、ちーちゃんに」
「そんなに重要な事じゃないだろう」
肩を竦める奏と首を傾げる慶一を交互に見ながら千尋の頭の中はこんがらがっていた。
今にもパンク寸前の千尋の肩をトントン、と優しくノックするその手の持ち主を振り返る。
「俺が説明しますよ」
「橘さん!」
いつの間に来ていたのか。
慶一の秘書だという橘賢太郎はチラリと慶一を見てから言葉を続けた。
「あぁ見えて一応殆どの教科の教師免許を持っているんですよ」
「え!そうなんですか!!」
「医師免許も持ってるしね」
自慢げに告げる慶一。
眩しいぐらいに輝いた笑顔をセットにしているが今は妙に腹が立つ。
(医師免許はなんとなく分かってたけど……まさか教師の免許まで持ってるなんて)
つまり。
過去に教師として学園にいたのは免許を持っていて尚且つ親戚だから話が通しやすかった、という事なのだろう。
もし本当に自分の為に強引な手で潜り込んだのなら迷惑を掛けている所の話じゃない、それ所か世間にもしバレたりなんかしたら一体どうなる事やら。
これで一応疑問は解決した。
しかし、新たな疑問……というか気になる点が生まれる。
「あの……橘さん、慶一さんって普段、てか前はなんの仕事してたんですか」
「旦那様の病院にいらっしゃいましたよ」
「あー本当に医者だったんだ」
「信じてなかったの!?」
千尋の言葉に慶一はショックだったのか溜め息を零し項垂れてしまった。
一方の奏も後ろの橘まで笑い出すので、千尋は顔を真っ赤にさせ何だか恥ずかしい気分になってしまった。
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