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岩龍君の秘密にしおりをはさみました!
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岩龍君の秘密
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PM9:38
点呼が終わり戀兎が部屋まで送ってくれた。
「おやすみなさい………、火浦君」
「ん?」
「…マキには気をつけて、絶対2人になったらダメだよ」
「うん、わかった」
夕祐は、部屋へ入って行った。
戀兎…
戀兎は
大丈夫だったの?
扉を閉めて。マキ言葉を思い出す。
《人のものに手をだしたんだ》
あれってつまり、マキさんのものってこと?
「お、おかえりなさい」
考え事をしていると、奥から岩龍君が声をかけてかかた。
「ただいま」
岩龍君は、少し大きめのパジャマを身に付け、シャンプーのいい香りをさせていた。
「ぁ、あの、ベットどうすればいいですか?」
「どっちでもいいんだけどさ、今日一緒にお布団入らない?」
「え¨」
わりと食い気味に否定されて、ショボンとなる。
「あ、い、い、え、あ、の、いやってことじゃ、ないんですけど、だ、だ、めです」
両手を前でブンブンふって焦りまくり訂正してくれたが、つまりやだってこと?
「だめぇ??、お話ししながら、寝たかったんだけど?」
「!、は、は、話って、て、手帳の話ですか?!」
今朝の光景を思い出し。
あー、そういえば僕、手帳の中身見たんだった。
「んー、その話は、岩龍君がしてくれるなら聞きたいけど…」
「け、軽蔑しないんですか?」
「なんでぇ?」
大袈裟に首をかしげてみる。
「だ、だって、み、見ましたよね、しゃ、写真」
「うん、見えちゃったから。」
「………気持ち悪くないんですか?」
ああ、この会話、ちょっとこたえるなぁ。
「可愛い写真だと思ったよ」
岩龍の手帳に挟まっていたのは、外人の男の人の写真、傍に幼い岩龍が真っ赤になりながら写っていて、隅には、その外人のほっぺにキスしてるプリクラが貼ってあった。
「ぼ、僕、ゲイなんです」
あっ、言わないで誤魔化せばいいのに、ハーフなんだし挨拶だーとか言っちゃえばすむのに岩龍君って本当正直で勇気あるな。
「そうなんだ、僕、今片思いしてる人男の人なんだ☆」
夕祐が、あっけらかんと言うと、岩龍が絶句して、口をパクパクし、右見て、左見て、わたわたしながら僕の口に人差し指をあてがった。
岩龍くんて可愛くて面白い。
「そんな大事な話、簡単にしないで下さい!!」
「岩龍君も、大事な話してくれたじゃん」
「え?そ、それは」
「大事な秘密でしょ?これでおあいこ」
「あの、でも、ちょっと違います」
「何が違うの?」
「ぼ、僕はゲイで、恋愛対象は常に
男性なんです。あなたは違うでしょ?」
「あっ、そうなんだ」
「だから…一緒の布団はちょっと」
岩龍は、うつむいてもごもごしてる
「んー、岩龍君、この写真の人が好きなんでしょ?」
「はい」
真っ直ぐのいい答え。
「だったら、今僕が迫ったってなびかないでしょ?」
「え!?せま…いや、僕はあなたが気持ち悪い思いをするんじゃないかって」
「全然、むしろその瞳をまじかで見られるなら、嬉しいくらい」
「ゆ、夕祐さんは両思いじゃ…」
「え!?誰と?僕振られたし!」
「えっ!!すいません!!」
「あっ、びっくりして、つい」
あれ?あれ?岩龍君、誰のこと言ってるんだ??
「あの、誰と両思いだと思ったの?」
「そ、それは、あ、あの」
「まった!やっぱりいいや、聞かない!僕が好きなのは戀兎だから!」
岩龍君が僕を見ている。髪が邪魔で表情がわからないが、驚いているのはわかる。
「れ…、有馬先輩?…」
「うん」
「振られ…」
「うん、今日振られた」
「え!!今日!!」
岩龍が驚いて今日2番目に大きい声を出した。
「しょうがないよねぇー、男に好きって言われたってねぇー」
僕が言うと、岩龍君が金魚みたいにパクパクしている。
振られたけど、好きだし。
なんかスッキリした。三年半も嫌われたかもって、考えて、息が苦しかったけど、そばにいて気持ち悪くないって言われた、それだけで、なんか楽に息ができる。
本当の勝負は明日からだけど、とにかく、今は、これでいい気がしてる。
夕祐は短い廊下を歩き、右側のベットに身を投げる。
「諦める気はないけどねぇー」
ふかふかのベット、落ち着く。
岩龍が隣に来て腰掛ける。
「長いんですか?」
「ん?あー、三年半くらいかなぁ?」
「…そう、ですか」
「うん」
岩龍が床を見つめ、膝に置いた両手に力を込める。
「す、すごいですね、ぼ、僕は、今年の夏で終わりにします」
「え?」
岩龍の言葉に飛び起きて、様子を伺う。彼は床を見つめたまま。
「ぼ、僕は、4年好きでした。でも、告白とか出来なくて。僕の家、変わってて、年の離れた兄と姉がいるんですが、兄がゲイで、パパとママが性別逆転してるんです。そんな環境で育ったから、恋愛にしがらみ感じてなくて、気がついたら男の子にばかり目が行ってた、家族は普通に、あの子イケメンだものねぇとか言っちゃってたし、僕の住んでた地域、同性結婚できたから、なんの疑問も抱きませんでした」
夕祐「うん」
岩龍君海外に住んでたのか。
岩龍「写真の人、姉のフィアンセなんです。今年の夏、結婚します」
夕祐「!」
岩龍「僕のは恋じゃなかったんです」
夕祐「なんで?」
岩龍「小3の時、日本の、おばあちゃんの家に姉と来ました。僕知らなくて、お、男の子に、す、好きだって言っちゃったんです。気持ち悪がられて、虐められて、そんな時、姉が彼氏として、連れてきたのが彼で、彼は日本に長くいて、色々教わってるうちに…す、好きに…」
夕祐「うん」
夕祐が岩龍の手に触れて、そっと握り込む。
岩龍「告白なんか、死んでも出来ない、ぼ、僕、姉のこと大好きで!」
夕祐「うん」
岩龍「諦めたんです、な、なのに写真なんか持ち歩いて」
ガタガタと震え出す岩龍
夕祐はピッタリくっついて横から抱きしめた
岩龍「!、ひっ、うっ、」
喉が引き攣る音がする。泣いているんだろうか、夕祐が腕に力を入れる。
岩龍「僕、最低で!!、姉たちが隣の部屋でしてた時、抱かれたいって思ったんです!」
膝に置かれていた岩龍の手が両膝に爪を立てて食い込む。
夕祐「…僕も、好きな人とはしたいって思うよう、普通のことだよ」
岩龍「でも、僕!!」
夕祐「思うのは、仕方ないんじゃないかな?岩龍君はその人に片思いしてて、そばにいたくて、愛してもらいたいって思っただけだよ。ね?ただ、その人はお姉さんを愛してて、お姉さんもその人を愛してて、岩龍君は、それをちゃんと分かってる」
岩龍「…うっ…」
夕祐「ちゃんと、好きだったんだ、だから苦しい」
岩龍「ゆ、ゆう…すけさ…ん」
岩龍が夕祐に抱きつき、嗚咽を漏らす。夕祐はしっかり抱きとめて、背中をさすった。
好きなだけ…
好きなだけなんだ…
初めは、いいな、って
好きだなって
そばにいたい
触れたい
キスして
…
どんどん欲張りになる
それが、愛なのか?欲なのか?
次ばかり求める自分は正常か?
静かな夜が2人を包み、つかの間の休息を与える。
今日は、晴天、雲ひとつない満月の夜。
風に吹かれて校庭の花びらが舞い上がり、また床に落ちて
ーー深夜AM1:03
皆が寝静まったA棟に、1人の人物がいた。
その人物は、迷うことなく、ある場所を目指す。
ーー火浦
札の右側にそう書いてあった。
静かに開けた部屋に入り鍵をかける。
そっとベットを見ると、右側の布団だけ膨らんでいる。
その人物がそっとベット膨らみに覆いかぶさる。
忍び込んできた人物が
ニヤリと笑った
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