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親睦会の班決め-2にしおりをはさみました!
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親睦会の班決め-2
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「あーあ、今こいつ誰?て顔したよね。前にも会った事があるんだけどな」
俺は他人の顔と名前を覚えるのが極端に苦手だ。実はこっそり大学ノートに俺と関わった数少ない生徒に関しては、名前と容姿の特徴などを詳しく書き込んで、忘れないように努力をしているのだが、こいつの情報は書き込んだ覚えが全くない。
冷や汗をタラタラかいていたら、呆れた顔をした朝丘が教えてくれるらしい。なんだよ朝丘のくせに。
「:速水圭介(はやみ けいすけ)だよ。4組のあの有名な百瀬の従兄弟なんだぜ。全然似てないけど、やっぱり品があるよな」
さも得意気に話す朝丘に少しの殺意が湧いて来たが心の奥に閉まっておこう。
速水圭介。おお!思い出したぞ!伯父夫婦の家へ帰省した際に連れて行かれたショッピングモールで百瀬と歩いていたあの人だな。
この学園に入学するとは聞いていたが同じクラスだとは知らなかった。
それに百瀬って4組だったんだな。隣のクラスとは全く知らなかったが、別に何組だろうが寮以外では赤の他人を貫く事に決めた俺達には関係の無い事だ。
ん?待てよ?この班は男臭さをテーマに集めてるんだと朝丘の野郎は言ってなかったか?俺は小柄で中世的な魅力のある速水と朝丘の顔を交互に眺めながら、男臭さについての定義とはなんぞやと途方に暮れていた。
「速水と男臭さが結びつかないって顔だな。こう見えて速水は剣道で全国制覇をした強者なんだぜ」
くそ、何で俺の心を読むんだよ。まあ新情報に驚いたのでどうでも良いのだが。速水の意外な一面を知り、ふと華奢な速水に竹刀で叩かれてアンアン喘いでる百瀬の顔が頭に浮かんだので笑ってしまった。
「「「ヒイイイッッ」」」
あ、近くで聞いていたモブ3名が俺のスマイルを見て固まってしまったようだ。すまん。
しかし気になるな。速水は百瀬の従兄弟でかなり仲も良さそげだったのだ。ならば百瀬の性癖も知っている確率は高い。
従兄弟で理解もあり剣道の凄腕で百瀬をしばき倒したら素晴らしいカップルの誕生なのではないだろうか。俺なんかに拘らなくても速水がいるじゃないか……。
「…………」
「あ、あの佐藤くん。言いたい事があるなら遠慮なく言って下さい」
いかん。俺の怪しい目で見つめられた速水が怖がって敬語になっている。これからはあまり目を合わす事は避けておこう。
ひとしきり反省をしていると、ガラッと勢いよく教室のドアが開いたので視線をそちらへ寄こすと、百瀬と神崎がフェロモンを振り撒きながら入って来た。
神崎という男は中等部で生徒会長を務めていた王子様系の正統派イケメンだ。正統派なのに時折見せる色気がたまらんと俺の隣の席のやつが言っていたので覚えている。俺の知識は大体が隣の席のやつから聞いた情報なのだ。
教室に入ってから秒速で俺を見つけた百瀬がキリリとした顔を緩めそうになったのだが、俺との約束を思い出したのか少し残念そうな雰囲気を醸し出しながら視線をそらしてくれた。
クラスの連中は二人が入ってきた途端に一斉に話をぴたっと止めて、何が起こるのかと期待を込めて待っている。
そこで担任の大山がおどおどしながら口を開いた。
「ええっと、みんなも知ってる通り今回の大自然の家では4組と行動を共にして親睦を深めるのが目的だ」
ーーげっ。そうなのか?聞いてねえよ。
つまりこの学園は人数が多すぎるので、手っ取り早く隣のクラスとまずは仲良くなろうぜって話のようだ。
1組は2組と、3組は4組と……と言うふうになっているらしい。七三分け目の大山が緊張しながら説明をしているのは、神崎、百瀬という2トップのオーラに圧倒されているからだろう。そのオーラは俺には効果は無いのだがな。
「先生は急用が出来たし、このクラスの委員長は生憎風邪のため休みだ。大自然の家で一泊する時の部屋決めは、この二人に任せているので指示に従うように。では頼んだよ」
大山はこの2トップに丸投げした後、そそくさと教室を出て行った。
神崎、百瀬の登場にクラスのチワワどもは勿論のこと、男臭い野郎達まで浮き足立っているのが伝わってきて正直ウザい。
俺は再び秘技、瞳孔を開いたまま微睡む!を披露して浅い眠りに入っていく事にした。
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