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18歳以上ですか?
2にしおりをはさみました!
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電車が揺れる。
ガタゴトと鳴る走行音と各所で聞こえる話声。
七海に口を抑えられているためなんとか声を出さずに済んでいるが、内壁を何度も擦り上げられ敏感な一点を指先で押し潰されると、ビリビリと痺れるような快感が込み上げてくる。
それでもこんなところで達してしまっては下着もズボンも汚れることになる。
絶対にダメだと必死に耐えているが、七海に口を塞がれているため呼吸も上手く出来ず意識まで朦朧としてきてしまう。
酸欠でふわふわと浮くような感覚が訪れ、ぼんやりと七海を見つめる。
苦しいのと快感に浮かされているので、目尻から一筋の涙が溢れた。
「…っ、やべ。色気ありすぎです。今すぐぶち込みたい」
熱っぽく掠れた声が俺の耳を揺らす。
こんな状況でさすがにそれは無理だが、腰に当たるソレをズボン越しに擦り付けられる。
快感を覚えている身体がその感触を知り、想像が膨れ上がってしまう。
熱く硬いものが狭い内壁をズブズブと押し入り、一番奥まで何度も突き上げられる。
余裕なく七海が俺に覆いかぶさってきて、荒く吐き出す呼気と壊れてしまったのかと思えるような心臓の音。
一気に情事中の記憶が蘇ってきて、ゾクゾクと背筋に甘い快感が駆け抜けた。
「――っん、んー…ッ」
堪らず意識が白み、ぶるりと身体が震えた。
「もー、みーちゃん怒らないで下さい」
「お、怒るに決まってるだろう。朝の通勤電車でなんてことをするんだお前は」
「でも我慢しすぎてドライイキしちゃって身体はかなり気持ちよさそうだっ――」
「もうお前とは喋らない」
「あーっ、そんな事言わないで下さい」
熱い身体を持て余しながら電車を降りて、バスまでの道のりを歩く。
七海がこうやって痴漢行為をしてくることは初めてではないが、さすがに今日のはやりすぎだ。
電車から降りた時はもうフラフラしてしばらくホームの椅子に座り込んでしまったが、朝の時間はそう待ってくれない。
気怠い感覚があり足を動かすのも億劫だが、就任したばかりの仕事で遅刻するわけにもいかない。
七海はしばらく俺にベッタリと懐いてきていたが、学校が近くなるにつれ大学の友人に声を掛けられ始める。
そうなればさすがにもう離れろと七海を睨む。
俺達の関係がバレるわけにいかないのは高校も大学も同じだ。
あえて避けることなどはないが、怪しまれないためにもあまり一緒にいるわけにはいかない。
「七海くんってバスケサークル入ったんだっけ。背高いしカッコいいからみんな噂してるんだよー」
「え、マジっすか。嬉しいな。じゃあ新人戦やるっぽいんで応援来て下さいよ。美人な先輩来てくれたらみんなやる気出そうだし」
「もー美人とか…っ。試合いつ?連絡先交換しよーよ」
「ほいほい」
バスの中でキャッキャ騒いでいる七海と先輩らしき人物が話している様子を苛立ちながら聞く。
公共の場所で騒ぐな。
自分だけではなく他人も乗車しているのだから黙って乗れ。
あと七海に触るな。
大学に入り少し経ったが、七海はあっという間に高校の時と同じように友人に囲まれている。
持ち前の人懐っこさと、誰に対しても変わらないいっぱいの笑顔は確かに第一印象としては満点だ。
だがその実暇さえあれば人に痴漢してくるような変態だし、先日なんかあろうことか大学の講義室で犯された。
両思いと知ってからアイツの性欲バカにはますます磨きがかかっている気がする。
「もー。七海くんってほんと面白いよねーっ。彼女いるのー?」
「いますよ。超絶可愛い彼女。すぐそこに――」
「うわっ、あのセンセー今年からきたヤバ眼鏡じゃん。シーッ、関わらないほうがいいよ」
俺の姿を捉えたらしい女生徒が失礼なことを言っている気がするが、なるほどお前の顔は覚えた。
ギロリと睨むと、慌てたように視線を逸らされる。
なんだかこのやり取りがどこか懐かしく思えるのはこの眼鏡のせいだろうか。
大学に着くと一日が始まっていく。
高校教師の時とはもちろん勝手は違い、毎日授業を義務付けられているわけではない。
数学者としての研究はもちろん、同じ志を持つ教員や生徒も数多くいて、そういった者たちと議論をしたりゼミに顔を出したりと割と新鮮な毎日を送っている。
対等に話が出来る者が側にいるというのは、まるで大学時代に戻ったような気持ちにもなる。
忙しなくしているうちにあっという間に一日が過ぎていく。
研究室という最高の環境で仕事に没頭していたが、気付けば窓の外は真っ暗だ。
時刻を見れば思いの外時間が経っていて驚く。
こういうことは最近多く、どうやら俺は数学に集中すると全く周りが見えなくなるらしい。
教授には感心されつつ笑われたが、あまり良くない癖だなとも思う。
急いで帰宅しようと携帯を取り出すと、七海からの連絡が何件か来ていた。
内容は今朝の謝罪と時間が合えば一緒に帰りたいとのことだったが、さすがにこの時間ではもう帰っているだろう。
謝りのメッセージを入れて携帯をポケットへ滑り込ませる。
実は大学が始まってから、七海との時間はあまり取れていない。
お互いに環境の変化でなかなか予定が合わないのと、俺が今日のように研究に没頭しすぎてしまうのも原因だ。
これではいけないと思い俺の時間が取れる時に七海の予定を聞いてみるが、バイトだったりサークル活動をしていたりとで中々時間が合わない。
今は昼の時間も高校の時と同じように一緒には取れないし、今日のように朝時間が合えば一緒に大学に行く程度だ。
そう考えると性欲バカなアイツが俺に痴漢したり、いきなり講義室につれこまれるのも仕方ないのかもしれないが――。
もしも。
もしもこのまま時間が合わずどんどんすれ違ってしまったら。
時間が合わないことで気持ちまですれ違ってしまったら。
そうなってしまうのが一番怖い。
七海を信じると決めてはいるが、子供の気持ちが変わりやすいのは分かっている。
年相応の奴をアイツが好きになるのが、本来なら一番いいことも分かっている。
こんなことを考え始めるとあっという間に不安になってしまう。
気付けば31歳を迎えている俺が18歳の男子大学生と付き合っているなんて、やはりおかしすぎるのではと罪悪感に囚われていく。
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