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片思いを合わせて…にしおりをはさみました!
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片思いを合わせて…
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さっきから、
七瀬の心臓は壊れたように煩く鳴っている。
しかし、劣らずに、御船の心臓も熱く速く鳴っていた。
「本当はすぐにでも、お前を抱いてしまいたかった。誰も知らないお前を俺だけが感じて、組み敷いて、思い切り啼かせてやりたいと…、
だけど、それじゃあお前のあの瞳が、
俺に向いたことにはならない。
本当の意味で、お前を手に入れた事にはならない。」
だから、と言って、七瀬を抱き締める御船の手が少しずつ上がって行く。
「俺は二つ目の選択肢を選んだ。
お前を、周りから囲い込む方を。」
そして、七瀬の髪を愛おしげに梳く。
七瀬はくすぐったく思うも、先程から微動だに出来ない。
動くどころか、息をするのも苦しくなってきた。
「やり方は単純だ。
まずは男女問わず、誰彼構わず、片っ端から噂を作ってばら撒く。最も目立つやり方で、優等生のお前の目にも止まるくらいに。
あとは実際にお前の行きそうな場所で適当に事に及べば、いつかは必ずお前にぶち当たる。」
すっかり腕の中で固まっている七瀬に、
御船はふっと笑みをこぼした。
「今でこそ、もう少しましなやり口があったと思えるがあの時の俺にはこんなことくらいしか思いつかなかった。
全て、お前を手に入れる為に、
その為には、誰の心が傷つこうが、どんな風当たりが向かってこようが、どうでも良かったんだ。」
七瀬の脳裏に、不意にあの日の情景が浮かんでくる。
挑発するように、誘うように投げかけられた視線を。
あれは全部、計算の上で…。
ーーーすべて、おれを…。
「分かるか?
俺はな、罠を作ったんだよ、遠回りな手段で、
お前が確実に俺を意識するように仕向けたんだ。その上で…、」
その上で、お前が罠に飛び込んで来るのを待っていた、と
御船の腕が更に強く七瀬を抱き締めた。
御船のシャツを握る七瀬の手がカタカタと震えだしたのを見て、御船はあやすように、七瀬の背中を撫でた。
「本当はもっともっと、時間をかけて追い詰めて行くつもりだった。お前を落とすにはまだまだ気を引く必要があるだろうと思って、
だからあの日、
あの雨の日に、
お前が自らこの保健室に来た時は、本当に驚いた。
その上、お前から誘ってくるもんだから、余計に。」
そう言うと、御船はちゅ、と七瀬の首筋に軽いキスを落とした。いきなりで、七瀬は大きく身体を揺らし反応してしまう。
「あ…っ!」
御船は構わず首筋にキスを落として行く。
時には優しく喰みながら、ゆっくりと。
「俺が、罠にかけた筈なのに、
お前に近づいて触れるたびに…。」
「あ、ぁ、御船…、」
「堕ちていったのは俺の方。」
鎖骨あたりまでくると、御船は軽く、七瀬の肌に歯を立てた。
「ぁう、」
「もっと、声が聞きたい、もっと、知らない顔が見たいとばっかり思って、歯止めが効かなくなっていった。
所構わずに、お前を求めて…、
今回の事件が起こった。」
その瞬間、一気に七瀬の目が見開いた。
心臓が嫌な音を立てはじめる。
御船の表情を見ようとするが、やっぱり御船の腕がそれを許してくれない。
「分かってる、俺はやり方を間違えた。
お前を危険に晒す可能性を、考えられなかった筈はないのに、自分の欲を優先した。
その馬鹿さ加減にようやく気付いた時は、
お前はもう、ベッドの上で真っ白い顔で横たわってた。」
「み、御船…、」
「すべて俺のせいだ。」
御船、と何度呼びかけても、
御船はこちらを向いてくれない。
痛いくらいに抱きしめてくれる腕は、今や確実に震えていた。
ーーーいやだ、いやだ、
やめてくれ…!
七瀬の中で警鐘が鳴る。
「許しを乞うのは俺の方だ。
すまない、
…すまなかった、七瀬。」
それから七瀬を抱き締める腕が少しずつ緩んで行った。
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