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もう一度眠りについたサランの髪を母ステラは嬉しそうに撫でる。木の根が曲がり、サランとステラを囲んでいる。天井を隠すほどの葉は青々と茂り、風が窓から吹き過ごしやすい環境だ。
「これはどういうことだ?」
「あら、フィオリ様はこの子の部屋に入ったことがなかったの?」
「最近は…我の部屋でよく過ごしていたから入っていなかった」
「ふふ、それなら驚くわ。ねぇ、あなた」
「ああそうだねステラ。フィオリ殿、こんな子ですがよろしくお願いします。植物に愛されているんですよこの子は。ソア国にいた時もね、この子が座れば植物や動物が寄り添うんです」
「…そんな能力が?」
すよすよと眠るサランは気持ち良さそうだ。
「(フィオリ様?あなた…本当にサラン様を処分できるのですか??)」
レミルはサランの元に歩いた主人の背中を見つめてため息をつく。
先ほどまでは失態を見せてしまうほど慌てていたが、
やっと植物とサランの奇怪と疑問を受け止め始めた今この頃。
サランに熱い視線を送るフィオリを見て疑問が起こる。この王はなぜサランに惚れていることに気づかないのだろう、と。
森で会った運命の人、とやらが邪魔だと感じる。惹かれ合っているこの2人が結ばれれば良いのに…とも。
「あらあらっ、申し訳ございません。私はこれで退きますわ。どうぞフィオリ様がこちらでサランを見てやってくださいませ」
ステラの声に顔を上げると、レミルはまたその光景に驚く。
「(ああ、本当に…この人はサラン様を手放すなど出来ないでしょうね)」
「早く我の相手にならないか。サラン」
真っ白で柔らかいシーツの上に座り眠るサランにちょっかいをかけている主人の姿。サランは夢の中。お腹が上下に動くだけ。風が気持ちよく、爽快な空を見ていると寝そべりたくなる。
ごろんっ
「(あ、本当に転がった…)」
ソア国王たちに見られているのにも関わらず、王の威厳など無しにサランの横になるフィオリに呆れる。
ソア国王、女王の2人は微笑ましそうに目を細めていた。
楽しい時間というのはあっという間だ。とうとうソア国王、女王が5日間の滞在を終え帰国していった。
馬車が見えなくなるまで手を振るサランの姿にレミルの心が痛んだ。
でも、きっと大丈夫だろう。フィオリ様はきっとサラン様を大事にされる。処分、などしないだろう。
そう、思っていた。
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