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23にしおりをはさみました!
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「なんだ、これは…」
フィオリは森に立ち尽くし呆然とした。叩きつけるような雨なんて気にしない。
ただ目の前の状況を飲み込めないでいた。
動物が皆同じ方向を向きじっと見つめている。こんな雨の中に。
光り降り注ぐ小屋に焦点を合わせている。
フィオリは一歩踏み出す。
彼の姿は今、ヒトではない。
ここではいつも獣化した姿で過ごしていた。
森でしか収まらない巨体であり、のびのびとありのままを晒し出せる場所がここだけだったからだ。
フィオリにとってここは心安らぐ場所。
誰からの視線も言葉も気にしなくて良い。
「お前にこちらへ来る資格はないよ」
はずだった…
「…貴様は誰だ…?」
「…」
「なぜここに入れる」
「…」
「獣族か」
「…番人、と言えば分かるのか」
「番人…サーシャか」
「フィオリ。どうしてここへ来たんだ。もう、遅いのに」
「…なんの話だ。それに何故我の名を知っている」
「花の子を助けられるのはお前だけだったのに。いいのか?さいごの挨拶もしないで。あの子はあそこにいるよ」
ローブを頭からかぶったままの男の声がだんだんと小さくなっていった。
フィオリは小屋の前でヒトへ姿を変えると中へ入った。光降り注ぐ、優しい陽だまりの中へ。
散らかった部屋に1人、ベッドの上で眠る者がいる。城から追放したサランだった。
肌は白く、体は細かった。髪はボサボサで清潔さはないけれど、どこか美しかった。
サーシャのものなのか、刺繍された美しい布がサランを包み込んでいる。
「まだ息はしているんだ、もう、手遅れだけどね」
男は戸へもたれかけ、そう言った。
「…何故だ…お前は、、」
「やっと気が付いたの。遅かったねフィオリ。もう少し、早く気づいて欲しかった…私は何もしてやれなかったから…」
「サラン?」
「おい、起きろ」
「何故眠っている!」
「無駄だよ、フィオリ。その子はもう息をひきとるんだ…その証拠に、ほら、動物たちが敬意をはらっている…みんな、悲しんでいるんだよ」
「」
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