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ごっこからの脱却
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白田は、隣でシャワーを浴びている男に意識を向けないように気をつけて、平常心を保つ努力をしながら体を洗っていた。視線を感じるのは気のせいだと自分に言い聞かせるが、やはり気になるものは気になる。
「あの、あんまり見ないでもらえますか。」
「なんだよ、俺を意識してんのか。今までそんなこと言ってなかったのになあ。」
黒谷の口元が上がり、ニヤニヤと上から見下ろされる。
「っ!!」
図星を突かれ恥ずかしくなった。意識しているのは本当で、それを悟られるのは嫌なのに、知ってほしいとも思う。その先がどうなるのか、良くも悪くも、いい加減に新婚ごっこからの脱却をしたいが、そこまでの勇気は出せずに冗談のように軽く言った。
「そうですよ、同性なのに意識してます。先生は助手がそんな奴なんて嫌でしょう。だから今は、こっちを見ないで下さい。」
「ふうん。お前、短期間ですっかり男好きになったんだな。そんで、さっきまで楽しんでおいてまだ足りねえのかよ。」
白田の言葉は冗談にならなかった。とん、と首筋を人差し指で押される。何のことかと、背を向けていた壁を振り返り、設置された鏡を覗き込んだ。
「あれ?何これ。」
泡の残る首を近づけてよく見れば、鬱血した赤みがある。虫に刺された覚えはないし、腫れてもない。かゆみや痛みもなかった。
「キスマークだろ。お友達にちゃんと、次は目立たないところにつけろって言っとけ。やりましたってバレバレだぞ。」
その口調に冷たさを感じ、白田は背後に立つ黒谷へ向き直り思わず口を開いた。
「決め付けないで下さい。次回なんてないですし、今日もしてません!」
力を込めて否定する。なんだか悔しくて涙が滲む。
頭の中にロイの顔が浮かぶ。確かに、危うく性行為に持ち込まれそうになったがはっきりと断った。それは、目の前にいる男が好きだからこそだ。
「僕は、先生が好きなんですっ。」
勢いで言い切り、肩で息をする。こんな状況で告白するつもりはなかったが、出てしまった言葉は帰せない。急に怖くなり、まともに黒谷の顔が見れなくなる。心臓は早鐘を打ち、手にしたボディタオルにすがるようにしっかりと握った。
「へえ。それは知らなかった。」
黒谷の右手が、白田の首に触れてキスマークの上をなぞる。そのまま、泡の乗った鎖骨を乗り越えて胸に移動すると、途端にぴくんと体が揺れた。ボディタオルが手から滑り落ちる。
「敏感だな。」
ぬるり、人差し指と中指の間に乳首を挟む。ボディーソープの助けを借りて、何度も揉むように擦り上げるとぷっくりと立ってきた。
「ここも。」
言いながら、今度は半立ちの揺らめく男根を握り込む。
「あ、」
息を詰め、目を閉じた白田の体が期待感で震える。拒絶されないのを確かめながら黒谷の手が上下に動くと、半開きの唇から小さな喘ぎが漏れた。
完全に固くなったところで手を離し、玉裏を撫でる。足に力が入らないのか、白田の膝が曲がり鏡に背中を預けてしまう。その腰を引き寄せて支えると、鏡の横の棚に置かれたボディーソープを出して手に取った。
「男相手はやったことねえんだ、力抜け。」
「なに、」
白田が薄眼を開けると、尻を探って穴にたどり着いた指が一本、ゆっくりと差し込まれた。
「っ、先生、」
「お前、俺より慣れてんだろ。自分でやるか?」
「やったことないです!」
慣れてもないのに、と抗議を込めて広い肩を軽く叩く。しかも二度とも、望んでもなかったが、酒のせいで準備の記憶は曖昧だ。
「なら、やってやるからとっとと協力しろ。」
「もう、なんでセックスすることになってんですか!」
「あ?やりてえんだろ。」
否定は出来なくて言葉に詰まる。もう脳も体もその気になっているが、一方的なのは癪に触る。
「先生は?」
「もちろん、やりてえよ。」
ほら、と導かれて触れた先には反り返った大きなものがあった。
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