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Vivre dans la révolution~革命に生きて
Je suis...
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Je suis Didier Mendi.
僕の名前はディディエ・メンディーです。
当時、パリ大学に入学したばかりのころ・・・
(ここまでは、ディディエ自身の語り掛けです)
******
「ディディエ、聞いてくれよ?俺さ、粉屋の子息の家庭教師をクビになったんだ・・・路頭に迷うって、そのことだったのか・・・?」
パリ大学の中庭。
オルレアン・イバニェスはリンゴを齧りながらぼやいている。
苦学生育ちで、四兄弟の三男。運動神経万能で学業も優秀。父親がスペインにルーツを辿っているため、ラテン語が堪能。奨学金取得を得ている。
陽気な性格でお喋り。しかし、朝晩の飯よりも噂話が好き。
「王妃様は、活発で立ち振る舞いが凄く優雅。ハプスブルク家のビスクドールそのものの美貌で学業も悪くはないが、フランス語が少しばかり拙いんだな・・・でもさ・・・あのルイ14世時代はフランスバブルを象徴している。絢爛豪華な鏡の間は本当に眩いくらい・・・俺も入れてくれよ?と言ったらさ・・・」
「オルレアンはうるさい・・・」
ディディエたちはオルレアンのお喋りに少しばかりうんざりしている。
「あ~あ。オルレアンの口をホチキスで止めてやりたいくらいだ。口の軽さは半端ではない」
ギョーム・デシャン。
ディディエとは幼少期からの付き合いだ。
代々貴族で弁護士・政治家のジャン=フランソワを父に持つ一人息子。ジャン=フランソワ・デシャンは国王ルイ16世の顧問側近で敬虔なカトリック教徒。
******
1789年、フランス。
市民によるバスティーユ襲撃でフランス革命勃発・・・
中庭で、学生たちがわいわいがやがやと雑談が繰り広げられていた。
その年、パリ大学で二人の男性を客員教授として迎え、講義が執り行われようとした。
マクシミリアン・ロベスピエール、ルイ・アントワーヌ・レオン・ド・サン=ジュスト。
学長の紹介の瞬間、僕の背筋が凍り付いた・・・。
「Hein....?」
講義が始まるとき、ルイは僕にに目をやるものの、目を合わせないようにしていた。
講義が終わった後、二人とすれ違う。その際・・・
「Merci,Beaucoup,Monsieur Robespierre et Sain=Just!!!」
(メルシー。ロベスピエールさん、サン=ジュストさん)
「vous regardez si beau,Didier」
(元気そうだな、ディディエ)
クールな面持ちで声をかけた・・・。少しばかり気まずい。
二人の光景をマクシミリアンとギョームが見守っていた。
「サン=ジュスト君、ディディエ君を知っているのか?」
「ウイ。ディディエは僕の卒業した学校の後輩でもあります。ディディエが在学中、僕が教育実習生として歴史を教えていました」
「なるほどね」
講義のあと、ギョームとオルレアンと一緒に噂話や愚痴で盛り上がっていた。
「サン=ジュストさんって、怖い男だ・・・。何を考えているかわからないよ」
「過去に卑猥な本を出版して、あわや、逮捕寸前まで至ったりしたことも。元カノのルイーズというお嬢さんとの別れがきっかけなんだとかでさ」
「ロベスピエールさんの右腕だけにあって、ロベスピエールさんよりも怖い。怒らせたら、ジ・エンドと言っていいかもね」
数日後、授業を終えて、パリの街並みを歩いていたら、マクシミリアンにばったりと会った。
「Bonjour,Monsieur Robespierre!!」
(こんにちは、ロベスピエールさん)
「Bonjour,Didier!! Ca va?」
(こんにちは、元気かい?)
「je vais bien et vous?,Merci!」
(元気です、有難う)
「どう?勉強は忙しい?相談事があるなら、僕が乗ってあげるよ。今、僕は妹のシャルロットと弟オーギュスタンと一緒にデュプレイ家に下宿しているんだ」
ディディエはマクシミリアンと一緒にデュプレイ家に向かった。
「Enchante!! Je m'appelle Didier Mendi!!!」
(はじめまして、ディディエ・メンディーです)
礼儀正しく、ディディエは自己紹介をした。
「こちらは、デュプレ夫人とエレオノール。エレオノールは僕の婚約者だ」
「はじめまして。よろしくお願いいたします」
その日はたまたま、ルイは留守中。ディディエにとっては都合が良い。
まさに、鬼の居ぬ間に洗濯。
夕食をご馳走になった後、マクシミリアンに相談を乗ってもらい、デュプレイ家を後にした。
「それでは、ご馳走様でした。おやすみなさい」
「また、いらしてくださいね」
翌日、ディディエはギョームとやり取りをしていた。
「サン=ジュストさん・・・近々、パリに戻ってくるそうだ。そうなれば、ずっと、ロベスピエールさんと一緒にいてる・・・」
数日後、ルイはパリに戻ってきて、ジャコバン党本部の秘書として働いていた。
マクシミリアンの右腕的存在で淡々と仕事をこなしてた。
「ロベスピエールさん、明日の資料がこちらになります」
「有難う」
******
ギョームたちはマクシミリアンに相談事が出来て、デュプレイ家に赴くことになった。
「てぶらでは悪いから、なにか、気の利いた手土産を持っていこう」
「そうだね」
二人は市場へ足を運んだ。
周りを見ていると、貧困で路上生活を余儀なくされている人々であふれかえっている。
パリ出身だけでなく、田舎町から来たものもいる。また、移民も少なくはなかった。
「ワインを買っていきたいけど・・・僕・・・持ち金ないしな・・・安いものはもう、売り切れだし・・・」
「ああ・・・」
「クサヴィエさん?」
ジャン=クサヴィエ・デシャン。26歳。
ジャン=ミシェルを双子の兄に持つ。王党派料理人で、デシャン一族。ジャン=フランソワとは親戚同士である。
「今、物価が高騰しているんだ・・・度重なる悪天候による農作物の不作。今、食材を買って行こうと思っていたが、生憎様だ・・・」
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