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孤独な青 4にしおりをはさみました!
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孤独な青 4
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僕が中学に、弟のルキが小学に入学する直前、父親がこの家の跡継ぎを弟に決めた。
わかっていたことだったけど、やはりショックだった。もう用無しの役立たずの僕が、この屋敷に居続けることは出来ない。そう思って、父親に「この家を出たい」と告げた。
父親は何も言わずに頷くだけだった。だけど、僕を疎ましく思っていても、一応父親だからだろうか。僕が住む為の小さな家を与えてくれた。それに、学校の費用や生活費等に必要な充分なお金を、定期的に振り込んでくれている。
それは、捨てた僕を不憫に思う気持ちからだろうか。それとも、仕方なくだろうか?どちらにせよ、まだ子供の僕は一人では何も出来ないのだ。
森の奥の洋館を出る時に、ロウには残るように言った。ロウは優秀だ。僕について来た所で、自分の為にはならない。僕は、「住む所とお金があれば、一人でも大丈夫だ」と言ったけど、ロウは頑として首を振らず、僕が許可してないのに、勝手について来た。
そして、洋館にいた頃と同じように、僕の世話を楽しそうにしてくれる。…そうなのだ。ロウは昔から、僕の世話をとても楽しそうにする。こんな役立たずの僕の世話の何が楽しいのか、僕にはさっぱりわからなかった。
この小さな家は、人間が住む街のはずれにあった。
僕がいた青蓮家は、森の奥深くにあったが、人間界の中に屋敷を構える一族も多数いる。僕が新しく住み始めた家がある街には、赤築家の大きな屋敷があった。
赤築の者が、小さな家に住む僕の話を聞いたのだろう。ちょくちょく、深夜に家の周りをウロつく狼の気配を感じるようになった。たぶん、僕を襲いに来ることは無いと思うのだけど、心配したロウが、狼が出る度に寝ている僕の傍に来る。時には外に出て、狼を追い払っているようだった。
僕たち人狼族は、人間に紛れて学校に通っている。
大半の人間は、僕たちの存在を知らない。だから僕たちも、派手に動いてバレない様に気をつけていた。
そして僕は、今年、名門私立高校の二年生になった。
昨年に大学を出た僕より七つ上のロウは、何を思ったのか、僕が進学した高校の先生となった。
「これで、四六時中ルカ様の傍にいられる」
そう言って、端整な顔に満面の笑みを浮かべるロウを、僕は呆れて見た。
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