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来いよ(イケヴォ)にしおりをはさみました!
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来いよ(イケヴォ)
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翌日も東谷とのペアワークの時間は訪れた。
天邪鬼で辛辣な発言の目立つ東谷だが、根は真面目らしい。
何やかんやで調べ物は順調に進んでいた。
正直、俺を裏切ったアイツらと組むより順調だ。
この調子なら内申は安定かな。
東谷は結構ボロが出るタイプなので、絡んでみると意外と面白い。
からかい甲斐があるというか。
今日も図書室にやって来た俺らは、またしても例の本棚の前に立った。
「なんでこんなんせなあかんねん・・・」
と、ブツクサ言いながらも、書籍を探すペースは速い。
「これいつまでに提出だっけ」
「来週の水曜やろ、ちゃんと話聞いとけや」
「ああ、そっか悪い悪い」
東谷は多分そういう話し方が癖みたいになってるんだと思う。
ので、口が多少悪くてもスルーすることにした。
口は悪いが会話としては成立するからだ。
「めんどくさいなー、こういうの苦手なんだよなー」
「分かったから手え動かせや」
「はいはい」
そんな感じでその日も終わり、帰り際、
「んじゃなー」
と声をかけて教室を出る。
特に返事はこないけど、まあ東谷だから仕方ない。
帰り道、俺を裏切った友達に(俺は結構根に持つタイプだったらしい・・・)
「お前、東谷とうまくやってんだな。正直すげえわ」
そんなことを言われた。
「いや、アイツ面白いよ。結構真面目だからワークもはかどるし」
「へえ」
そして次の日も、ペアワークをして、帰り際声をかけて帰る、の繰り返しだった。
題材も決まって、あとはデカい紙に書き出して終わり。
教室で、軽口の掛け合いをしながらも、着々と進めていく俺たちは、他のメンツからは特異にみられるっぽく、且つ、『東谷って思ったより話せるやつなんじゃ?』っていう考えにさせていった。
でもまあ俺が慣れてきただけで辛辣なのは変わらないから、軽い気持ちで話しかけると、もれなく撃沈するんだけどな。
そんで、土日を挟んでの次の月曜日。
事件は起きた。
「うわ、マジか」
「・・・」
俺らの紙が汚れているのである。
通常教室の隅のほうにまとめて置いておかれていたものなので、誰かが自分たちの紙を出した時に落として、気付かずに踏んだりされたようだ。
「これは・・・きついな」
あと今日を入れて二日で作らなくてはならない。
しかも最初から。
まあ、ほとんど書き写せばいい話だけど、それでも時間がかかる。
そのまま放課後になってしまった。
「・・・あのさあ、東谷」
仕方がない。
「何」
「これ、明日までに終わる気しないんだけど」
「・・・そんなん言う暇あるならちょっとでも書いたらええやん」
「いや、だからさ」
そこで提案なんだけど。
「俺の家、来る?」
「・・・え」
今日は久我さんのいない日だ。
夜の2時まで帰ってこない。
夜勤の日だから。
だから怖がらせることもないし。
「だってこのままじゃ終わらねえし。俺の家で続きやんね?」
東谷は、本当に驚いた顔を一瞬浮かべ
「・・・ホンマに?」
そう、小さく聞いてきた。
あれ、素直だな。
「うん」
「ええん?(良いの?)」
「俺一人だし」
「・・・分かった」
こうして、東谷が俺の部屋に来ることになったのである。
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