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アレルギー体質~信用問題にしおりをはさみました!
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アレルギー体質~信用問題
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就業時間終了後、サーシャから驚くべきことを告げられたのだ。
サーシャの話では
「マルセルが以前、働いていたパティスリーでアレルギー騒ぎが勃発したんだ。僕のクラスメイトのアデルが黙って見かねて、就学前の女児に菓子を与えて救急車騒ぎになったんだ。幸い、大事に至らずに済んだものの、アレルギーの発作は命にかかわることだってあり得るんだ」
女児は入院する羽目になったため、損害賠償騒ぎとなり、オーナーシェフの信用問題は回復することに時間はかかった。
客足が遠のき、業績が悪化。アデルはクビ、という憂き目。
『アデル。解っているだろうね』
『Oui,monsieur....』
その親御による執拗な嫌がらせが勃発していたからだ。
シェフ・パティシエ、マルセルたちへの怒りの矛先が向けられていた。
そんな心労が重なり、そこのオーナーシェフは癌にかかった。打つ手もないほど、悪化をたどり、廃業を余儀なくされた。
**********
サーシャ、アントワーヌ、ローランは当時、リセ進学をしたばかり。
パリは未だに残暑が厳しい時期。
アントワーヌはセネガル系、ローランはバスク系。
『エクレール、サン・ト・ノーレが絶品の店があるんだ』
『どこなんだ?』
『ついて来いよ。ショコラも絶品なんだぞ』
三人は、店舗に向かっていくが・・・
『私の夫クサヴィエ・アルノーは癌で余命宣告を受けました。残された時間を有効に過ごすため、廃業、という決断に至りました。僅か5年という短い期間でしたが、数多い店の中で我が店を選んでいただいて有難うございました』
ドアはシャッターが閉まっていて、張り紙が貼ってあった。
『・・・そんな・・・』
********
リセ・モンテーニュのカフェテリア。
「元はと言えば、その場にいなかった親御が一番悪いのに。就学前の児童に対しては保護者同伴よ」
ナディアとエレオノールは憤慨する。
「ネグレクトの何物でもない。わたしだって、アデルと同じ気持ちよ。黙って見てられないのが普通じゃない?」
昼食が終わると、ホームルームが執り行われていた。
「君たちは今、それぞれの店で研修に余念はないだろう。最近、アルノーさんは他界された。アレルギー問題の責任などの心労が祟っていただろう。時々、販売を任されることがあるだろう。無暗に、親御のいない場所での試食をすすめるのは慎め。いいな?」
担任のジャン・ベネックスが生徒たちに厳重に言い渡す。
「Oui,monsieur!」
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