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アレルギー体質
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週明けのパリ。
瑠衣は夕方前から、販売に出る。
「夕方は子連れ客が多いや」
一通りの客を見送った瑠衣とレイモン。
「あれ?あの子・・・」
あの初等教育の男の子だ。
よく、店を覗いているのに目が余る。
瑠衣たちは意を決する。
「あ・・・ちょっと待ってくれないか?」
瑠衣はその少年に声をかける。
「よく、店を覗いているようだけど?本当はガトーが食べたいんじゃないのかなあ?」
少年のガトー好きを確信した瑠衣たち。
そういや、ダヴィッドが試作しているガトーがあった。
「ルイ。ダヴィッドが試作したやつ、僕が持ってくる」
レイモンは、瑠衣に少年の接客を一時的に引き継ぎ、厨房へ消えていく。
「君、お名前は?」
「オラス。7歳」
瑠衣は名前を聞き出している。
程なくして、レイモンがダヴィッドの試作を持ってきた。
「このガトー、食べてみて」
レイモンはオラスの背丈に合わせてガトーを手渡そうとする。
「・・・でも・・・」
「これは、売り物じゃないんだ。試作品なんだよ、よかったら、感想を聞かせてくれるかい?」
「わぁ・・・可愛いガトーだ・・・」
オラスは試作のガトーを口に入れようとするが・・・
「レイモン!ルイ!」
血相を変えて、サーシャが販売場所に飛んできた。
慌てて、オラスからガトーを取り上げる。
「サーシャ!?」
「あ~間に合った!」
「間に合ったって!?」
瑠衣は突拍子もないことにひどく面食らっている。
「オラスは卵でアレルギーを起こすんだ」
ダヴィッドとマルセルは言う。
「え・・・?」
アレルギー体質?
どういうことなんだ・・・?
大体、初等教育低学年で親御同伴がない、とのこと自体、おかしい。
中等教育入学までは、親御同伴が義務付けられているのに。
オラスを野放しにするなんて、虐待と一緒じゃないか。
「サーシャのやったことは間違っていない。大体、ルイとレイモンは勝手に子供に菓子を試食させることが間違っている」
ロベールは瑠衣たちに一喝する。
「すみませんでした・・・」
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