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つぎはないにしおりをはさみました!
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つぎはない
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沢山話をしたい人。
それは俺の頭には浮かんで来なかった。
「あまり、言葉を交える事は少ない。こんなに沢山の話をしたのはお前が初めてだ」
悠斗はそれを聞くと、少し悲しそうな顔をした。
「人は、一つの人生を終えても。新しい生を受ける事が出来る。前世の記憶は思い出せない様だが、永久の別れじゃない」
「いまのきおくしかないから、だよ。あいたいってきもちも、ぜんぶぜんぶ。いまあるきもち」
現在(いま)、と来世(つぎ)の違いは、俺にとっては難しい。
「いまあるきもちで、ないたりわらったり、おこったりかなしくなったりするの。いまのぼくには、つぎはないの」
そう話す悠斗は、何処か遠くを見ている。
自分の死を、見詰める様に。
「つぎのぼくは、ぼくじゃない」
その言葉に、人々が何故死を拒むか。
少しだけ、わかった気がした。
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