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体育祭と俺たち〜むつ〜
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曇っていた空が、少しづつ明るさをもたらし始めた正午。
午前の部最後の種目、3年全員で行われる組み体操が無事に?終了した。
むつ「田中ぁ〜!!ピラミッドでブルブル震えんな!!」
田中「ヒィー、すいません!!」
修二「まぁまぁむつ、崩れなかったんだからいいじゃんいいじゃん」
今日の半日、すこぶる機嫌の悪いむつにビビった田中は、決めのポーズの最中にブルブル震えだし、バランスを保てなくなったむつは、6段ピラミッドの一番上から1人滑り降ちたが見事着地する珍プレーを繰り広げて拍手喝采を浴びていた。
アナウンス『これより、お昼休憩に入ります。トラック以外でしたらどこを使ってもらっても構いません。尚、午後の最初のプログラム、各チームの応援団の生徒は、早めに済ませて着替え、開始時間10分前には各チームで集合して下さい。それでは、午前の部の各チームの点数を掲示板に張り出し、お昼休み開始とします』
午前の部の成績は
1位青組
2位赤組
3位黄組
4位白組
5位緑組
会場には、生徒の保護者も来ていたが、保護者とご飯を食べる奴はほとんどいない。
生徒の控え陣地と保護者の見学席の間に引かれたラインを超えるやつはほとんどおらず、各陣地で弁当を広げ出していた。
俺たちが100m走に行った後から急におとなしくなった雷太は、豪華な2段弁当を広げ、俺たちのそばにはいるが、いつもみたいに積極的じゃない。俺たちも弁当を広げた。
修二「むつ、雷太に声かけてあげたら?」
むつ「何で?」
修二「…」
マキ「うふふ、何もしてないよ、僕はここから動いてないし」
修二「マキ…もう帰ったら?」
開会式の時から居座ってるこの男は、一体いつまでいるつもりだろう?
マキ「大丈夫大丈夫気にしないで、もうすぐ僕のお弁当がくるから」
むつ「は?弁当が来る?」
俺たちが首を傾げていると、マキは保護者席の方に何かを見つけてヒラヒラ手を振り出した。
まさか!噂のお兄様?!
超興味ある、一体どんなやつ?やっぱハーフみたいな顔なのかな?
と、そこに現れたのは、お兄様ではなく、俺のよく知る人物だった。
相変わらずちまっとした小学生みたいなセンスの無い私服に、ボサボサの髪。つよしだった。
つよし「ハァハァ…、やっと見つけた…」
マキ「ご苦労ご苦労」
むつ「おい!マキ、お前つよしをパシリに使ってんのか?!」
弁当の入った手提げ袋を下げたつよしはどうやらマキに弁当を届けに来たようだった。
むつの怒鳴り声に、つよしは片手をブンブン振って否定した。
つよし「あっ、ち、違うんです…、ぼ、僕が届けるって言ったんです」
むつ「つよし!どもるな!髪上げろ!克哉ぁー!!ハサミ!!」
つよし「ぇえ!ごめんなさいごめんなさい!!」
克哉「えー、今無いよぉー!」
むつは、つよしをかばいたいのかいじめてるのか…、修二が呆れてフォローに入る。
修二「つよし、むつは切ったりしないから。お弁当作ってきたの?」
つよし「ち、違います。これは、僕たちの寮の食堂のご飯で…」
むつ「寮の食堂?」
つよし「はい、僕とマキさん寮生で…」
は?寮生?じゃあ、あいつが住んでるマンションは?食堂の飯を何故つよしが持ってくる?っていうか食堂の飯ってテイクアウトできるもん?……。
やめよう、マキのことを考えても無駄な気がする。
なんか、マキとつよしと修二と克哉が4人でごちゃごちゃやっているが、俺は俺で午後の応援があるから、とにかく弁当を食べようと、椅子に座って弁当を開けた。
むつ「は?」
弁当を開けたむつは、あまりの衝撃に言葉を失った。
唖然とするむつに気がついた華南は、むつが呆然と見つめている弁当の中身を覗き込む。
弁当箱の中身は、1枚の紙切れが入っていた。
《弁当の中身は私が持っています。探してね♪
あなたのお姉様紬より》
華南「おっと…これは…」
〜〜〜!!あの糞姉貴!!来てやがるのか!!舐めた真似しやがって!
むつがブルブル怒りに震えていると、隣の華南は、慌てていたが、次の瞬間、むつの動きがピタリと止まった。
華南「…むつ?」
みるみる青ざめていくむつ。
華南「むつくーん?」
華南の呼びかけに、むつは急に顔を上げた。
むつ「まさか!?」
ハッとしたむつは、ある考えに行き着いた。
まさか!?紬のやつ!今日俺がチアガールの格好するの知ってるんじゃ…!!
細心の注意を払って今日の女装を黙っていたむつは、いても立ってもいられず、保護者席に向かって走り出した。
修二「あれ?むつ?!」
華南「待てよむつ!」
2人の声を無視して、見晴らしが良さそうで、日陰の場所を探す、すると案の定、見晴らしのいい場所にドドンと陣取ってる女がいた。
むつ「つーむーぎー!!」
むつが怒声を響かせると、むつの姉である紬がむつに気がつき、目を細めた。
紬「睦美、あんたピラミッドから落ちるんじゃないわよ、恥ずかしい」
紬は、長女の夢を連れ、見たことある紬の友達2人を引き連れて、見晴らしのいい席を無駄に広く陣取っていた。
むつ「何しに来やがった!」
紬「何しにって、毎年応援に来てるじゃない。男子校よ、パラダイスよ?」
むつ「帰れ!赤ん坊はどうした!?」
紬「ばあちゃんとじいちゃんが可愛がってくれてるの、こんな楽しいイベント見逃せないでしょ?チアガールさん」
にやりと笑った紬、むつの背筋にゾクっと悪寒が走る。
紬「怖い顔しないでよ、お手伝いに来たのよ。あんたが私の相手をしないなら、修二きゅんに構ってもらうからいいもんねぇ」
おばんの分際で「もんねぇ」だと!?
キショい!!
すると、むつの足元に何かがしがみついた。
夢「むつくん、おきかえ、ゆめてちゅだうね」
ぴとっと小さな紅葉の手で、むつの体操着の裾を夢に掴まれ、怒りは諦めへと変わった。
むつは自分が逃げられないと悟ったのだ。
足元で、期待に膨らむキラキラした夢を抱っこしてやると、夢はキャッキャ喜んでいた。
紬「心配しないで睦美、私の友達でプロの美容師のみっちゃんと花ちゃんよ」
紹介された美容師のみっちゃんと花ちゃんは、化粧道具を広げて待ち構えていた。
この2人は姉貴の昔からの知り合いで面識がある、俺が睨んだところで、今更ビビるような相手じゃない。
俺が断ったら。本当に修二にやりかねないし、修二のことだ断ったりしないで言いなりに違いない。そんなの勘弁だ、これ以上修二の可愛い面をなんで狼どもに見せる必要がある?。
むつ「…好きにしろよ」
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