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狭い世界の外側と俺たち〜華南〜
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時刻は午前10時少し前。
砂浜にはカラフルな水着に沢山の人々。
午前中なのに夏を満喫してる人で溢れかえっていた。
華南「やっぱ海はいいなぁー」
抜けるような青い景色。
見渡す限りいる若い女の子の水着姿。
ピチピチの肌を薄い小さな布切れで隠して、下着同然の格好で歩いてる素敵な季節、素敵な海。
去年までは、そう思えていた。
いや…
そう思ったことを呪いたい。
15分前ーー。
吉良「おはよう睦美。遠かったろ……。ふふ、今日はお肌ツルツルで可愛いね(昨晩はお楽しみだったんだね)」
駅に着いた俺たちを、吉良さんが迎えに来てくれていた。
流石は吉良さん、むつの事ならお見通しか?
マジ油断できない。
こっちに来る時、珍しく、修二が…。
修二『むつのこと、見ててあげて…慣れないバイトもそうだけど…、吉良さんとか…』
と、心配していた。
むつと吉良さんの間に何かあったのだろうか?…。
むつ「吉良さん、今日からよろしくお願いしまっス!」
吉良「店長に紹介するから、着いといで」
吉良さんに連れられた海の家は、木造で出来た昔からある感じの建物、階段を3段上がるとある客席に窓はなく、潮風が吹き抜ける。濡れた水着のまま入れるスノコ状の床に、置かれてる椅子も木でできたベンチと四人がけテーブル。屋根は普通にあって、調理場になる場所と事務所が部屋になっているものだった。
店長「始めまして!ここの店長任されてる、本田宗継(ほんだ むねつぐ)です。君たちの学校のOBで、年は21」
従業員が3人で迎えてくれ、その中の一人。
身長170cm位の小柄で明るい茶髪の頭。人柄が良く底抜けに明るいんだろうと分かる、太陽みたいな笑顔の人が1番に自己紹介してくれた。
俺たちのOBで21才ってことは、吉良さんが1年の時に三年生だった人ってことか…。
吉良「見た目に騙されちゃ駄目だよ。この人、結構凶悪だからね」
店長「うわっ、やめてよ吉良!俺はお前と違って喧嘩は嫌いなんだから!」
吉良「〝クラッシャー宗(むね)〟って呼ばれてるんだよ」
目を細めて楽しそうに笑う吉良さん。
高校三年生をダブり、あまり人とつるむことのない吉良さんが友達と話しているのを初めて見る。
店長「やめろよ!人を喧嘩好きみたいに言うの!違うからね、クラッシャーっていうのは俺がちょこ〜っとドジで物をすぐ壊すって意味だから」
吉良「現在進行系で、今持ってる携帯30台目」
店長「29台だし!」
吉良「四捨五入したら30だし」
店長「しないで!四捨五入しないで!」
表情のよく動く子供みたいな店長の本田さん。年下の吉良さんに完全に遊ばれている。
吉良さん、友達とだと、こんなに楽しそうに絡むのか…。
1年ダブった吉良さんは、何処か冷めた大人な感じで、飄々として1人で居ることが多かった。昔からむつを気にかけてはいたが、同級生になっても距離感が変わらず、最近は一緒に居ることが多かったが、それは、むつが俺たちと付き合って相談に行くからで。
俺たちをからかってる時の、不敵な笑い方ではなく、悪戯っ子みたいに楽しそうに目を細める吉良さんは、俺たちといる時と少し違う空気を出していた。
副店長「開店時間前にじゃれてないでさっさと自己紹介済ましましょうよ店長!」
店長「あっ!ごめんごめん!」
2人の話しの脱線を止めて引き戻したのは、茶髪のボインギャル。身長は170位と店長と同じくらいだが、ボリューミーな盛り髪が印象的で店長より少し高く見える。小麦色の肌。化粧はケバくはなく、普通より念入り位。
副店長「始めまして!副店長の棚橋キラリです。23才です」
ギャルギャルしい感じではなく明るくテキパキ仕事の出来る印象の喋り方。
吉良「この人が裏ボスだから、逆らったら食われちまうぞ」
副店長「吉良ぁ〜?もう、進むよ!そんで、コッチの子が、アルバイトの三島奈々ちゃん!ピチピチの19才」
ギャルっぽいテキパキボインの副店長と対照的に、茶髪のふわふわツインテールの三島さん、化粧は薄めで、胸はCカップ位の細身。
奈々「始めましてー。奈々です。去年もここで働いたので何でも聞いてください」
華南「始めまして、橘華南です」
むつ「始めまして柴田です」
むつは、自己紹介で大抵名前を言わない。〝睦美〟という女っぽい名前が嫌いだからだ。
挨拶もそこそこに、早速着替えることになって、事務所に入ったのだが……
問題が発生した!!!!
華南「むつ!頼むから上を着てくれて!」
働く場所が濡れることから、水着で仕事をするのだが、俺は重大な事に気づいた。
男の水着って!
乳首丸出しなんです!!
むつ「えー、せっかく海に来たのに?Tシャツ着たら変に跡つかねぇか?」
仕事着用に、Tシャツがあるが、着ても着なくてもいいと言われた。
海にいる男たちに比べたら普通の肌の色も色白みたいにうつって、気になる気持ちは分かる、分かるが…!!
ここに来るまでの考えもしなかった、男の水着って裸同然!
キスマークこそのこしてないが、可愛い乳首を見せて歩くって!!世の中の男同士のカップルは一体海でどうしているんだ!?
可愛い彼氏の胸を、どうやって守ると言うんだ!!
華南「焼きたいなら、後で焼く機会ちゃんとあるだろ!(人目のつかない場所で)」
吉良「仕事着だし、屋根あるからあんまり焼けないよ。着ときなよ睦美(脱ぐなら俺の前だけにして)」
むつ「そっか、そうだな。俺も着るから華南も着ろよ」
ああ!ナイス吉良さん!!
きっと着せた理由は俺と同じだろうけど、今回ばかりは助かった。
海!
なんて危険な場所なんだ!
ナンパや一夏の恋が渦巻くこの夏のビーチで!究極に可愛くて感じやすい性感帯の乳首を晒して歩くむつ、だぁ〜!無理無理!!耐えらんない!!
ハッ!
しまった!バイトの最終日に修二も来るんだ!!
むーりー!!
修二の水着姿とかエロ過ぎて無理ぃー!!!
修二もむつも、水着とかアウトだろ!?
俺はこれから数日、むつを守り切ることができるんだろうか!?
飢えた男たちに、女たち。それに吉良さん!
そんでもって俺は、俺自身も、欲望からむつを守ることが出来るだろうか!?
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