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番外編6ひと夜咲く純白の花の願い
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百目さんは、3日間の徹夜し、今朝も2時間弱しか寝てない。
昼ごはんにカップ麺を食べ、この後仮眠を取る。
矢田さんは百目鬼さんの命令で、僕と矢田さんの分の昼ごはんを買いに行った。
その時、メイちゃんから丁度電話がかかってきた。
僕は事務所から出て受話器を取る。
メイ『あっ、マキ!もう!泉くんがめちゃめちゃ怒ってましたよ!』
マキ「ふふ、ごめんごめん」
メイ『もう!百目鬼さんにご迷惑かけてませんか?』
マキ「え?何で…あっ、百目鬼さんが言ったの?」
メイ『いいえ、泉くんがマキは百目鬼さんの所にしばらく泊まるだろうって言ってましたよ』
は?泉が?
……あッ!
そうか、迎えに来て欲しいって駅の名前言った時、泉はここに百目鬼さんの事務所があると知ってたんだ…。
やられた…。
ってかしばらく泊まるってそんな馬鹿な。
百目鬼さんが僕を泊めるわけないじゃないか。
ってか何?『頑張ってこい』ってこと?
それとも『マキなら男をゲットするためにうまく潜り込む』って思われてんの?
超頭の回る泉の考えは難しい。
う〜ん。
メイ『マキ?』
マキ「あっ、ううん。メイちゃんあのさ、僕、メイちゃんに謝ろうと…」
メイ『え!?もうなんかやらかたんですか?』
マキ「メイちゃんは百目鬼さんの事好き…」
「好きなんだよね」そう聞こうとしたら、言い切る前にメイちゃんが喋り出した。
メイ『や!ちょっと!何を誤解してるんですか!!私は違うって前言いましたよね?!』
めちゃくちゃ焦ったメイちゃんは、慌てすぎて普段見ないほどの取り乱し方をしていた。
マキ「そんなに焦って否定したら肯定してるように聞こえるけど…」
メイ『ちがっ、本当に違うんです!』
マキ「…でもメイちゃんの目は恋する目だ」
メイ『っ、誤解です。もー、あの時からずっと誤解してたんですか?わ、私が好きなのは…、百目鬼さんの事務所の方の人で…、その…、百目鬼さんに誘って頂いたお食事にその方もいらっしゃってて…だから…』
マキ「は?え?」
百目鬼さんの事務所の人?
メイ『私が好きなのは百目鬼さんではありませんから、誤解しないで下さい…』
百目鬼さんが好きなんじゃないの?
違うの?…
じゃあ百目鬼さんも、メイちゃんが好きなんじゃなくて、メイちゃんに協力して食事に誘ってるとか?
マキ「百目鬼さんに協力してもらってるの?」
メイ『いえ!百目鬼さんにはそんな事話してません!仕事ついでにお食事誘って頂いて、たまたまそこに彼が来てるだけで…』
って事は…?
話がややこしくなってきたぞ…
もしかして…百目鬼さんの片思い?
百目鬼さんがメイちゃんに片思いしてて、食事に誘ってるってだけ?
修二に引き続き、修二とそっくりの声のメイちゃんにも片思いなんて、百目鬼さんってなんて両思いに縁遠い人なんだ…。
百目鬼さんファイト!
マキ「え…メイちゃんは百目鬼さんの事好みじゃなかったの?」
メイ『とても素敵な方ですけど、でも…あの…』
恥ずかしそうに口籠るメイちゃん。
う〜ん、完全にその事務所の方の人とやらにホの字です。
その後、その相手を聞いたけど、メイちゃんは頑として教えてくれなかった。
メイ『と、兎に角!マキは余計な事しないで!私は私でちゃんとやりますから、いい加減その〝キューピット癖〟やめなさい。それと百目鬼さんにご迷惑はおかけしないように!後!マキの仕事の予約ある日はフラフラしないで帰ってきて下さいよ!』
まくし立てられ、電話は切れた。
…どうなってるの?
修二『マキは見えてると思い込んでる』
だって修二。僕がメイちゃんを進めてた時、百目鬼さんあんなに渋い顔してたのに、今はご飯に誘うようになったんだよ?
メイちゃんが顔を赤らめて、ご飯に…まぁ、半分仕事だけど、あんなにウキウキしてたら、相思相愛だと思うじゃん。
確かに、2人が一緒にいるのを見て確かめたわけじゃないけど。2人が出会った時、百目鬼さんはメイちゃんを見つめてた、あの時ピンときんだ。
華南がむつを見つめててピンときたのと同じ。
案の定華南はむつが好きだった。
だから、百目鬼さんもメイちゃんを好きだと思うんだ。
修二『下手に相手のこと分かるからって、相手の気持ちを聞いたわけでもないのに、決めつけて…』
確かに、メイちゃんは違った…。
…。
うっ、修二の説教がグルグル回る。
修二に言われるなんて思わなかった。
だって修二こそ、「きっとこうなる、ああなる」って決めつけてビクビク怯えて、それをごまかすために笑ったりしちゃって、引きつった顔するもんだから見てて痛々しくて…。
……だから、分かるのかな?…。
経験したから?…。
修二『後悔して前に進めないって顔に書いてある』
ふふ。でもさ、修二。
僕がメイちゃんを進めたんだ。
メイちゃんが百目鬼さんを好きになったり、百目鬼さんがメイちゃんを好きになったら、僕は責任取らなきゃじゃない?
メイちゃんは違った。
でも、百目鬼さんがメイちゃんを好きだったら、僕は、なんとかしてあげなきゃ…
もし、修二が僕の立場でも、そうすると思うけどな…
あぁ…、修二に会いたいなぁ…。
百目鬼さんが修二を好きな気持ち、分かる。
修二には、とても癒される。
そのあと、帰って来た矢田さんに、百目鬼さんが電話番を任せ、上の自室に仮眠に行った。僕と矢田さんは、出来立てホヤホヤのお弁当を食べる。
矢田は、疲れ切った百目鬼が心配な様子で箸が進まない様子だった。
矢田「くしゅんッ」
マキ「大丈夫ですか?昨日の僕のせいで風邪引かれたんじゃ…」
矢田「ち、違います!大丈夫っす」
マキ「…でも、元気ない…」
矢田「…いえ、このままじゃ、百目鬼さん倒れちまうんじゃないかと思って…」
疲れ切った百目鬼に、矢田が心配の声を漏らす。
矢田の話しでは、百目鬼さんの事務所は、一般の依頼がなかなか入ってこないのだと言う。
チンピラみたいな矢田と、ヤクザみたいな見た目の百目鬼の顔を見ると、依頼者が逃げていくのだとか、一応もう二人、まともな人がいるらしいが、実際に仕事をこなすのは百目鬼で、近所の評判が悪いため。百目鬼の知り合いの刑事が依頼してくる過酷な依頼をこなしているのだとか。
百目鬼は料理が出来るのに1人だからと適当に済ませ、その刑事のおかげでお金に困ってるわけじゃないのに、カップ麺やパンで食事を済ましてしまい、睡眠も平気で削って仕事をするとか…。どうしようもない仕事人間なのだそうだ。
マキ「ふーん」
矢田「だから、彼女さんが出来て、手料理とか食べさせて上げてくれればいいなぁと思ったんすけど……本当に付き合ってないんすか?」
マキ「付き合ってないよ。ごめんね、僕、料理作れないんだ」
矢田「そうっすか」
メイちゃんは料理出来るし、癒し系だし、きっと百目鬼さんを癒せるのに…
それに比べて僕は、料理出来ないし、まぁ、セックスでストレス発散は出来るけど…。
メイちゃんなら、百目鬼さんのオアシスになってくれると思ったのにな…
矢田「百目鬼さんは普段怖いけど、本当は全部優しさの裏返しなんす。誤解されやすいけど凄く凄く優しい人なんす!どこにも雇ってもらえなかった俺を拾ってくれたっす!口は悪いけど、全部優しさなんす!だから早く百目鬼さんにも安らげる場所ができて幸せになってもらいたいんす!」
矢田の熱弁は、矢田が本当に百目鬼を慕っているのがわかる。
矢田「百目鬼さんと付き合ったら絶対甘やかして優しくしてもらえます!……。マキちゃんは百目鬼さんのことどう思ってますか?」
マキ「…可愛いい人だと思うよ♪」
矢田「本当っすか!!怖くないんですね!じゃあ可能性ありますか?」
マキ「んー…、僕は…いいけど…、百目鬼さんは僕みたいなのは嫌いだよ、もっと清楚系が好きだと思うな」
矢田「そんなことないっす!!マキちゃんは綺麗で可愛いいし、愛されキャラっす!」
愛されキャラ?
ふふ、ある意味…正解だね。
僕に欲情しない男はいなかったからね…
矢田「俺、応援しますから、マキちゃん頑張ってくださいよ!」
マキ「んふふ、百目鬼さんが嫌じゃなきゃね♪」
せっかく矢田さんに拾ってもらったし。
矢田さんに恩返しのつもりで願いを叶えて、百目鬼さんの片思いを叶えてあげるっていうのもいいな。
そしたら、最後に笑顔くらい見れるかも…
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