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*【bad medicine 】
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ヤバイ……
百目鬼さんは、今日僕が修二達と会うのを知らない…
あ〜勿体無い!!せっかく来てくれたのに…パクッと一発つまみ食い出来るチャンスだった!!。
最近泊まりがないから、僕的は欲求不満。百目鬼さんと付き合ってそろそろ半年、前はいっぱいセックスしたけど、最近は僕が跨るとあまりいい顔しない。
百目鬼さんには構ってもらいたいけど…
…ここは、なんとか乗り切ろう。
意を決してドアを開けると、いつも通り強面の百目鬼さん、何故かこちらを伺うようにしながら、白い箱を僕の前に差し出して言った。
百目鬼「雪哉が、新作をお前にって預かった」
マキ「えっ?雪哉さん?
これ、ケーキ?」
百目鬼「そうだ」
嬉しさに「ありがとう」ってケーキの入った箱を受け取りはしゃいでいたら、百目鬼さんが聞こえるか聞こえないかの声でボソッと呟く
百目鬼「……怒ってねぇじゃんか…」
マキ「え?」
なんて言ったかは聞こえなかったので聞き返したけど、百目鬼さんはバツが悪そうに言葉を濁す。
百目鬼「いや、何でもない」
マキ「ふーん。…ところで百目鬼さんこんな所にいてお仕事大丈夫?最近すっごい忙しそうだったのに」
百目鬼「ああ、その…、最近は泊まり断ってばかりだったろ。雪哉が…ご機嫌取るために持ってけって…」
マキ「…………そう、雪哉さんが」
百目鬼「…ッ…」
気まずそうな百目鬼さんは、言葉を言い換えようか迷ったみたいだけど、結局やめちゃったみたい。
百目鬼さんは時々、忙しい合間を縫って僕の所に来てくれる。すまなさそうにする百目鬼さんとはさっきっから目が合わない。僕のこと気にしてくれたんだ。優しくしてくれるライオンに、今日も可愛いなぁなんて和んでたら、泳いでた百目鬼さんの視線が僕の後ろらへんを見て止まった。
百目鬼「……靴…、客?」
ドアの隙間から靴が見えたみたいで、百目鬼さんの表情が一気に曇った。
マキ「あ…うん…」
百目鬼「………」
不機嫌にない顔した百目鬼さん。僕は百目鬼さんがさっさと帰ってしまいそうで、瞳を潤ませて見上げた。
冷たくして帰らないでほしい…キスしたいなぁ…
と願ったのを百目鬼さんは察して「うッ」と気まずそうに視線を僕から逸らした。
耳と尻尾が見えたのかな?
矢田「あれ?お客さんか、残念すね百目鬼さん、せっかく遠回りして…」
百目鬼「矢田!」
相変わらずの矢田さんがポロっと言った言葉を百目鬼さんが小声で叱ると、矢田さんが慌てて口を噤んだ。
だけど、後ろからも空気を読まない声がする。
むつ「残念だったな、マキは俺たちとデート中なんだよ」
百目鬼「ッ!!」
おっと…むつくーん?!。
驚いた顔した百目鬼さんが僕を睨んできたよ!
すると奥から修二も出てきた。
修二「コラ!むつ。マキの彼氏に吠えないの、ここはマキの家でしょ!」
むつ「うっ」
シュンとするむつはすごすご引き下がる。むつ君は自由で俺様なとこもあるけど、修二に対してとても従順。感心しながら、僕は別のことが心配だった。修二が「マキの彼氏」って言ってくれたのは嬉しいけど、百目鬼さん…複雑だろうな…。諦めたといえ…心の準備なしに〝好きな人〟にそう言われたら…
修二「マキ、僕たちのことは気にしないで、またいつでも遊べるし」
修二が気を使って帰ろうとしてた。
でもでも、僕は今日を楽しみにしてたのに…。
百目鬼さんと修二の複雑な関係は分かってる。でも、和解も進んでるし、百目鬼さんだって好きな人に避けられるのは嫌だろうし…、かと言ってむつと華南の気持ちも考えなきゃだし…
僕の大好きな修二とむつと華南。それに、僕の好きな人、両手に花なのに堪能できないのか…残念。
マキ「…ケーキいっぱい貰ったし、プリンもあるし…、みんなで食べたかったなぁ…」
むつ・修二「…」
百目鬼「…」
百目鬼さんと修二達のわだかまりが全部無くなったらいいのにな…、百目鬼さんのためにも…。
華南「じゃ、みんなで食べれば良くね?」
華南の一言は、天の一声だった。
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僕の部屋に、むつと華南と矢田さんが居る。不思議な光景。
百目鬼さんと修二と僕は、廊下で奏一さんの許可待ち。百目鬼さんは、奏一さんに許可を取らないとと言って電話して、修二もその電話で何か話してた。
意外にも、すぐに許可が降りて、僕はちょっとソワソワした。百目鬼さんは嫌じゃなかったかな?。ちょっと不安げに見つめたら、百目鬼さんは僕の頭を撫でて通り過ぎ、部屋でくつろいでる矢田さんに、マキを手伝えって叱ってた。
修二「マキ、手伝うよ」
修二も手伝ってくれて、お湯沸かして紅茶を入れた。僕は一人暮らしで食器がそんなに無いから、紙のお皿を並べてケーキを取り分け、修二とむつと華南と矢田さんに配った。僕と百目鬼さんは、エンジェルプリン♪しかも、生クリームのと焼きプリンと一つづつ入ってた。
マキ「きゃぁー♪迷う♪」
百目鬼「だったら両方お前が食え」
マキ「えー、一緒に食べようよ♪」
百目鬼「いい、お前の好物だろ」
マキ「百目鬼さんだってエンジェルプリン好きでしょ♪」
百目鬼「…」
マキ「じゃあ、百目鬼さんが焼きプリンで、僕が生クリームね♪」
渋々といった感じで食べ始める百目鬼さん、でも僕は知ってる。百目鬼さんは自分で並んじゃうくらいエンジェルプリンが好きな事。そもそも百目鬼さんに買ってきてもらったの食べて僕も好きになった。
修二と華南は普通にしてて、矢田さんはいつも通り、だけどむつは今だに納得いかない表情で百目鬼さんと僕をジロジロ見てる、百目鬼さんは百目鬼さんで早く食べて帰ります的なオーラを出してる。
修二「むつ、ほら、よそ見してないで食べちゃいなよ、ケーキ溢れてる」
むつ「あ、あぁ」
華南「口の端に生クリーム付いてる」
修二が溢れたケーキのスポンジを拾って、華南がむつの口を拭くようにティッシュを差し出す。むつ君は素直にそれを受け取って口を拭った。
いいなぁー、僕もイチャイチャしたいなぁ…
マキ「ねぇねぇ百目鬼さん。僕にも焼きプリン一口頂戴♪♪」
百目鬼さんは直ぐに焼きプリンの入った入れ物を僕の前に差し出したけど、僕は受け取らずに口を開けた。
マキ「あ〜ん♪」
百目鬼「ッ!」
案の定百目鬼さんに睨まれた。
百目鬼「残りは全部食っていい、俺はベランダでタバコ吸ってくる」
そう言って、ベランダに出て行ってしまった。
まぁ、仕方ないよね。修二達の前だし…。
僕も修二達みたいにイチャイチャしたかったなぁ…。
まぁ、百目鬼さんの性格考えたら無理だけど。
百目鬼さんが不機嫌になってしまったから、矢田さんがワタワタと気を遣ってくれて、紅茶のお代わりを作ってくれるって台所に向かったけど、紅茶の葉っぱが無くなってた。矢田さんにお湯を沸かしてもらって予備のを出そうとロフトに上がったら、台所で派手に物をひっくり返した音がした。
ロフトから降りて台所を覗いたら、矢田さんが一生懸命落ちたらしい物を元に戻してた。
マキ「矢田さん大丈夫?」
矢田「だ、大丈夫っす!すいません!」
つまづいて台所のものにぶつかったらしい。僕の家が物が少なくて良かった。大惨事になってたかも。
マキ「紅茶無くて、貰い物のフルーツティーならあったんだ、百目鬼さん飲めるかな?」
矢田「百目鬼さんに聞いてきやす!」
矢田さんがバタバタベランダに向かい、修二がみんなのマグカップを持って台所に入ってきた。
マキ「修二、フルーツティーって好き?」
修二「飲んだことないけど、紅茶は僕ちゃん好きだから、飲んでみたい。コップ洗うね」
マキ「うん、ありがとう」
台所に修二と2人で立ってると、なんかドキドキした。普通の友達が隣に普通にいて、一緒に食器洗ったり紅茶作ったりって、なんか新鮮で、嬉しい。
何もないのに可笑しくなって一人でフフッと笑っちゃった。
修二が洗ってくれたコップにお湯を注いで、とりあえず一個フルーツティーを作ってみた。
マキ「修二、好きか飲んでみて」
修二「うん」
修二が熱い紅茶を冷ましながら、一口をつけると、「ん?」っと眉を顰めた。
マキ「嫌いな味だった?」
修二「ううん…これ…」
そう言いかけて口元を押さえる。
え?そんな不味い?僕飲んだことあるけど、美味しかったんだけどな。疑問に思って紅茶を一口飲んだら、美味しい紅茶の味がした後、ふわっと視界が傾いた。
それは、覚えのある感覚。
その時、僕らの後ろから矢田さんが台所に戻ってきた。
矢田「あっ、出来たの運びますよ」
矢田さんの声に振り向こうとした修二。僕は慌てて修二の顔を掴んで僕の方に向けた。
修二「!」
目が合った瞬間電流が走って、僕と修二はフラッとその場に片膝ついた。
矢田「だだだ、大丈夫っすか!?」
マキ「…うん、平気…、目眩がしただけ…」
修二「僕も…平気…」
矢田「そ、そうっすか?俺がここやっときますから、お二人はリビングに…」
マキ「うん、ありがとう、そうするね」
修二「ありがとうございます」
マキ「行こう修二」
僕は修二の手を握って立たせる。
立った修二と目が合うと、修二がありがとうと言いながらフワッと笑った。
僕もその笑顔に答えて微笑む。
僕たちは手をつないで部屋に戻った
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