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ピチャッ…
ポタンッ
どこかで雫の落ちる音が聞こえる。
また誰かが血を流しているのかもしれない。
…………血?なぜそう思う?どうして"水"じゃない?
「…………」
コンクリートの冷たい床が寝添べった俺の体温を奪っていく。
薄く開いた目は遠くにある微かな光に縋った。
あれは電灯か?
その薄暗がりに慣れた頃、視界に飛び込んだのは目の前の錆びた鉄格子。そして────
「オイ!起きろ!」
暗がりの中で動く一人の姿。
声からして男だと分かった。
「うっ…、あ……、ここ…は…?」
「良かった。まだ意識があるようだな」
しゃがんで俺を覗き込んだ男は口元に笑みを浮かべた。
ここはどこだ…?一体何が?
「動けるか?もっとも、動けないようならこのまま死ぬだけだが」
「──ッ!?いっ……!」
飛び起きた俺の身体がギシギシと唸りを上げる。
酷い筋肉痛のような痛みと重石でも付けられているような倦怠感が身体を襲う。
目を向けてみれば、どこもかしこも傷だらけだ。
「何が…どうなって…」
絞り出した声は嗄れて酷いものだった。そんな俺に男は水筒を差し出す。
「水だ。それを飲んだら他に意識のある奴がいないか調べてくれ、時間がないんだ!」
男は俺の問いには一切答えず、ただ"時間がない"と急かす。
全く状況は飲み込めないが喉の渇きを潤した俺はすぐそばでうずくまっている男の肩を揺すった。
「なぁ、あんた。起きろって─────え?」
反応のないその肩を少し強めに揺すると、ゴロンッと力無く仰向けになる。
僅かな光に浮き上がったその顔を見た俺は叫びそうになった声を飲み込んだ。
「こいつ…し、死んでる…!?」
「そうか。だったら次だ」
「次…?あんた何言ってんだよ!人が死んでるんだぞ!?」
平然と言い放った男に掴み掛かかった俺はやっとその男の姿を直視した。
頭から滴る黒っぽい液体が顔の左側を締め、服の至る所が破れたり切れたりしている。
「あんた、怪我……してるのか?」
「……。お前はたまたま生きてただけだ。一歩間違えればそこの男と入れ替わってたかもな」
「なっ…!」
「分かったんなら言う通りにしろ!」
「っ……」
俺はそいつの剣幕に圧倒され、言われるがまま生存者を探した。
するとこの牢屋の中にいた9人の内、実に7人もの人間がギリギリのところで生命を繋いでいた。
だが、内3人は生きているものの、理性を失っていて動ける者は俺を含むたった4人しかいない。
そして奇妙なことに全員が一切の記憶を失っており、自分の名前すら思い出せない状態だった。
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