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「ハァッ、ハァッ、…」
どのくらい走っただろう。呼吸をする度に肺が軋み、潰されるんじゃないかと思う程痛む。
少し休みたい。
俺は大きめの木の陰に回り込んで背後を確認する。
「なぁ、あんたら!追ってきてないみたいだぞ!」
『っ……!』
前を走っていた奴らが遠ざかる前に声をかけるとそれぞれが足を止めて木の幹に背中を預けた。
心臓が痛くなるほど走った俺達は呼吸を整えるのが精一杯で、誰一人言葉を発しようとはしない。
でも俺は自分がバッグを持たされていた事に気付いた。
「これ……中身は何なんだろ?俺達の所持品だって言ってたけど…」
「貸せ」
俺から奪うようにして一つのバッグを探り出した体格の良い男は首からドッグタグを下げている。
それが本物なら軍人なんだろうか?
「IDカードがあるな…だが写真は載ってねぇ。お前らもバッグを調べろ」
ドッグタグの男はバッグを逆さまにし、中身を地面にばら撒き始めた。
テキパキと指示を出して時々辺りを警戒しながら中身を調べる様はやっぱり素人とは思えない。
なんというか、こういう状況に慣れている気がする。
「こっちもIDカード。でも中身はそっちと少し違う」
混乱すること無く冷静沈着。
その男は俺から無造作に掴んだバッグを一通り調べ終えたらしく、少し目にかかる前髪を掻き上げながら外に出されたバッグの中身を見比べて言う。
態度からして、こいつは強靱的な精神の持ち主か酷い楽天家だろう。
「水・固形食料・ペンライトにナイフ。ここまでは同じだが、なぜかワイヤーが入ってる」
「ワイヤー?こっちはライターだぜ」
「ボクの方は針です…少し長めの。何か意味があるんでしょうか…」
3人がそれぞれ報告を終え、残りは俺一人となった。
俺が調べたバッグの中身。それはこの後の関係性を左右させる物だと思うと正直気は進まない。
「さっさと言えよ。何が入ってたんだ」
「…………銃。」
『──!?』
3人が驚きで目を大きく開く。でも問題はこれが誰の物かだ。
名前も分からない俺達にそれを知る術はない。
「……あの、これって」
綺麗な声で呟いた男は袖を捲ってみせる。
すると、腕に何かが巻かれていた。
「俺にも付いてるな」
「裏に何か書いてある!E-306…?」
「オレはE-271。お二人さんは?」
「俺はE-198だ」
「ボクはE-315…。認識番号でしょうか?」
(認識番号?よくそんな言葉が出てくるな)
何の予測も付かない俺には3人が特殊な職業の人間に見えてきた。
判断力・精神力・分析力そのどれかをそれぞれが持ち合わせているが、だったら俺は?
俺は何でこいつらと同じ場所に捕まってたんだ?
何の役にも立てそうにない俺は他に手掛かりがないかペンライトを点けてバッグを調べた。
何かしていないと居心地が悪いというのが理由だったが、この行動が幸を成した。
「なぁ!バッグの持ち手の金具に刻まれてるのって、この腕のタグの番号じゃないか?」
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