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「あ…本当ですね。ボクが持ってるのはE-306だから、恐らくあなたの物です」
「サンキュ。」
俺は差し出されたバッグを受け取り、そうやってそれぞれが持ち主と思われるバッグを手にする。
すると当然と言えばそうなのかも知れないが、銃の入ったバッグは軍人っぽい男の手に渡った。
「俺の名は、どうやら"アイル"らしい。あんた達は?」
名前を得た俺が改めて名を告げると簡単な自己紹介が始まった。
軍人っぽい男がソウマ。
冷静沈着な男がアラン。
物静かな男がイオリ。
そしてIDカードを確認した俺達は別の疑問が湧く。
「どうも腑に落ちねぇな。IDカードにしちゃ身元を示すもんが名前だけだ」
「この腕の番号も無いし、バーコードなんかも無い。単なるネームプレートみてーだな」
「まるでボク達に示す為だけの物…」
「ああ。俺達を捕虜していた奴らなら他の情報も持ってんだろうが、今は体を休め、少しでも体力を取り戻す。野営できる場所を探すぞ」
ソウマの言葉にアランとイオリが黙って頷く。
この三人は一体何者なんだろう?
会話についていけない俺は三人に瞬きを繰り返すばかりだった。
「アイル…さん?」
「あ、うん」
立ち上がって先に進もうとした三人が呆けていた俺を振り返っていた。
この時俺はなぜか背筋にゾクッと冷たいものを感じ、慌てて三人の後に続く。
「あんた達さ、こういう状況…慣れてんのか?」
「あ?どういう意味だ」
歩みを止めないまま、アランが横目に俺を睨んだ。
「いや、さっきからあんた達の会話を聞いてると、次はどうすればいいかとか分かってるみたいだったから」
俺がそう告げると前を歩く三人が不思議そうに軽く目を合わす。
「言われてみりゃ……。本能的に覚えてるのかもな」
「だとしても今は調べようがないから何とも答えようがねーよ」
この状況も去る事ながら一番厄介なのは全員記憶が無い事だ。僅かにでも残っていればそこから何か分かるかもしれないのに…。
「ボクは……慣れていないと思います」
二人に遅れてイオリが静かに意見を述べる。
「ボクは覚えてると言うより、頭の中で"分かる"だけなので…」
頭の中…?知識として備わっているという事なのか?
でもそれは、やっぱり特殊である事に違いはない。
「アイル、とっとと歩け。足手まといになるようなら置いてくぞ」
「っ、分かってるよ」
こいつらにはそういう意味で接点がある。だったら俺は?
なんでこいつら同じように捕まってたんだ…?
俺は頭の中で、暗がりから小さな何かを手探りする心境のまま彼らの後を追った。
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