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「まあ、うちの学部ってグループワークも多いし」
「はあ!?ずるい!ちょーずるい!俺も今から文学部になってやる!!!」
「いや、無理だろ」
「いや、無理でしょ」
小森と佐伯と呼ばれる男の声が重なった。
確かに無理な話だと俺も心の中で頷く。
「冷静にツッこむな!!!てか、佐伯に冷静に返されるとめちゃくちゃ腹立つんだけど!!!」
「なんで俺にだけ突っかかってくんだよ!」
「そのお前の大好きな二葉くんが引いてるからな」
「はっ!二葉さん別に忘れてたわけじゃないからね!?」
……その反応は忘れてただろ。
「その反応は忘れてただろ〜」
口に出ていたかと思ったが
この声はアホ二号だった。
またキャンキャンと犬の吠え合いの如く言い合いを始める二人を見て
小森がはあ、とため息を零した。
そのまま流れるような動作で鞄の中からファイルを取り出し二人の頭に叩き落とす。
きっといつもこんな感じで仲裁役しているんだろう、と見て思った。
あほ二人は頭を抑えて「いってえ〜」と声を漏らしている。
「なんかあほ2人がごめんね」
「いや、小森もお疲れ様」
フッと自然に笑みが零れた。
それを見て目を丸くする三人
「……?」
人の顔面をこれでもかとジロジロ見るものだから
自分でも分かるくらい眉間に皺が寄る。
「いや、うん。これは……」
「な、なるほど、これがギャップ萌え……???」
「二葉さん笑顔めっちゃ可愛い!!!!!!!!!!」
思わず声も出てしまった。
「は?」
何かに納得する小森と頭に大量の疑問符を浮かべながら頬を赤くする佐伯
それから意味不明なことを叫ぶ金井
なんなんだよ、と言おうとした時誰かのスマホが鳴る。
「やば、二人とも授業始まるよ」
「お前なんでアラーム掛けてんだよ〜」
お前らがいつも時間忘れるからだろ!
と一喝して金井と佐伯を引っ張り歩き出す小森
あいつアラームまでかけてんのか
俺も今日はこの後バイトがあることを思い出して時間を確認する。
まだ、ここを出るには少し早いが、早めに行くか
と、
「二葉さん、またねー!!」
引きづられながらも律儀に挨拶するアホに反射的にひらっと手を振ってしまう
少し離れたところからまた騒がしい声が聞こえた。
俺、今日熱でもあんのかな
これからバイトなのに
自分でも自分の行動がわからない
自然と笑ってしまったのも、無意識に手を振ってしまったのも特に意味なんかない
意味なんかない、はずだ。
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