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だが岡本が見ていた。
いつも俯いて高取の機嫌ばかりを窺う岡
本がじっと見つめていた。
ここで引いたりたじろいたりすることは
彼のプライドが許さない。
「どけ、気持ち悪い」
それが精一杯だった。
もっと明確な拒否の言葉を言わなければ
岡本が諦めないだろうことは容易に想像で
きる。
でなければ今までさせてきた数々の行為
を受け入れられたわけがない。
しかし上手く言葉が浮かんでこない高取
が言えたのはそれだけだった。
面白半分で書いた言葉がまさか自分に返
ってくるとは思わなかった。
今までと違うことを求められ、責任が生
じたとしても高取には背負いきれない。
いや、そもそも岡本に手を出したのもほ
んの軽い気持ちだった。
「……」
しかしやはり岡本は引かない。
高取が居心地が悪いと思うほどじっと見
つめたまま動かない。
いや、そもそもあれだけ乱暴にされてま
ともに立てるかもわからないが。
「…消せばいいんだろ、消せば」
ついに高取が折れた。
いや、そのままにしてもっと悲惨なこと
になってこれ以上苦い思いをしたくない、
というのが彼の言い分だけれども。
それでも表情を緩めた岡本は初めて彼が
自分の言うことを聞いてくれたことが嬉し
くて仕方ないらしい。
しかし高取に続いて立ち上がろうとした
ところでよろけた。
体内に留まっていたものが傷ついてうま
く締められない縁から零れる。
その感覚に岡本の表情がサッと曇った。
「どうした」
“せっかく消してやろうって言ってるの
に来ないのか”と高取が振り返る。
岡本はよろける体を壁にもたれかからせ
て支えるので精いっぱいだった。
「ちょっと…ゆっくり…」
一歩踏み出すごとに痛みが走る体は十分
に乱暴された痕跡がクッキリ残っていた。
怯えるように一歩また一歩と踏み出すそ
の歩き方は一見しても腰を庇うようで、岡
本が何故そんなにゆっくりしか移動できな
い理由は高取にもすぐ知れた。
「止まれ」
「え…?」
目の前まで戻ってきた彼の声に、岡本は
顔を上げる。
理由を尋ねるより先に足が地面を離れて
いた。
「わっ」
「暴れるな。落とすぞ」
岡本はただ驚いただけで暴れたわけでは
ない。
自分を抱き上げた高取にしがみつくだけ
で手一杯だ。
彼はそのままトイレまで岡本を抱えて運
んだ。
「中のもの、掻き出して来い」
「う、うん…」
やっと床に下ろされた岡本は運んでもら
ったのが申し訳ないやら、けれど離れるの
が惜しいやらで返事をしてからの行動が鈍
い。
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