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聖なる夜 4にしおりをはさみました!
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聖なる夜 4
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「…ただいま。」
声を掛ける。
「…お帰りなさい。」
鈴は、外を見ながら言う。
マンションの景色は、別にいつもと変わらない夜景でしかない。
…怒っている…?
黙ったまま、上着を脱ぐ。
鈴は、頑なに窓の方を向いている。
…黙ったままでは、お互い拉致があかない。
ため息をこっそり吐いて、高梨から渡されたアイスを、鈴の目の前に置いた。
さすがに、鈴が振り向く。
「…みやげだ。」
「……?」
「アイスクリームのケーキ。高梨から。」
鈴が手に取って、開けてみた。
「……サンタの形…。」
高梨め。まんまクリスマスケーキじゃないか。
「……高梨と会ってた?」
「いや、別に買い物があって、その帰りに高梨と会った。」
鈴がケーキをじっと見つめる。
「…食わなかったら、冷凍庫に仕舞うぞ。」
「…食べる。」
「………冷たい…。」
「アイスだからな。」
「…おいしい。」
「そうか。」
鈴が、何を考えているのかわからない。
だが、着実に機嫌が良くなった。
「______ 何怒っていたんだ?」
「……たくみが…居ないから。せっかくの休みなのに…。」
「買い物があったんだ。仕方ないだろ?」
「でも…。」
スプーンを見つめる。
「でも?」
「…………クリスマス…だから…。」
………驚いた。
鈴は誕生日とか、そう言う事に興味が無い。
てっきり、クリスマスもと思っていたが…。
「クリスマス嫌い…なの?」
「……苦手だな。」
「……ふうん。」
それきり、鈴は黙ってスプーンを動かす。
やがて、ぽつりと、
「…クリスマスプレゼント…貰ったことある…。」
意外だ。
「誰に?」
まさか兄では無いだろう。
「闇医者のおじいさん。クリスマスだから支払いはなしって。」
…それは、貰ったとは言えない。
「ケーキも、貰ったから持って帰れって。…でも兄さんに捨てられた。」
鈴の…昔話はいつも悲惨だ…。
それを淡々と話す。
やり切れない…。
「…たくみ?」
持って帰った袋を、鈴の目の前に置いた。
「……何?」
「…クリスマスプレゼントだ。」
そういうつもりで、買ったんじゃないんだが…。
鈴の目が真ん丸になる。
恐る恐る袋の中身を取り出す。
「……スマホ…?」
「そうだ。」
「…なんで…?」
「…これなら、何処に居ても連絡出来る。」
…鈴のめずらしい笑顔……。
「ありがと…たくみ。」
スマホをぎゅっと握りしめて言う。
うん…。
こんなクリスマスなら、悪くないかもな…。
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