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聖なる夜 3
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ため息を吐く。
「…事情はわかった。」
「頼む!おまえが頼りだ!」
高梨に拝まれても…。
他の二人が怪訝な顔をしている。
「あ!こいつは医者擬き。
でも、医者より頼りになるんだ!」
「…元医学生なだけだ。どれ…。」
余計な突っ込みは止そう。
さっさと済ませて、さっさと帰る。
…ケーキをざっと見る。
プリンは…無い。
クリスマス仕様のケーキは、どれも美味しそうだが、どれも濃すぎる…。
「何が食べられる?」
ワクワクして高梨が聞く。
「……ケーキはケーキでも、アイスクリームケーキはどうだ?」
ここには無いが、アイスクリーム店に行ったらあるだろう。
喉越しも良いし、ケーキほどお腹に溜まらない。
高梨は、一緒キョトンとしたものの、勇んで言う、
「なるほど!!アイス冬も好きだし!!
ありがと!!山崎!!
やっぱ頼りになる!!」
ブンブンと音がしそうなほど、手を握って振り回される。
やれやれ…。
………他の二人と別れて、高梨と何故か歩く。
「おい…。」
何でこっちについてきてる…?
「へっ?こっちにアイス売ってる店あったろ?」
「……」
「山崎…スマホ替えんの?」
俺の持っている袋を見て、奴が、不思議そうに聞く。
「いや…これは鈴の…」
…しまった。つい口がすべった…。
「あー、そりゃ鈴、ぜってー喜ぶ!!
クリスマスプレゼント?」
「……たまたまだ…。」
「ケーキは?買って来たんか?」
……人の言う事を聞いてない。
「…俺は無宗教だ。」
そもそもクリスマスに浮かれている街が、嫌いだ。
誰しもがクリスマス…勘弁してくれ。
「あった!ここだ!山崎、待っててくれよ!」
「何で…!」
あ…行ってしまった。
何で待たなきゃダメなんだ!
…ため息を吐く。
「はい!」
戻って来た奴が、持って来たのはアイスの包み、二つ分。
「二つ?」
「そ!これは俺と冬の分!
んで、これは山崎と鈴の分!
良いアイデアくれたお礼。」
「…いい。
アイスなら、冷凍庫に入れておけば持つ。
これは持って帰ってくれ。」
「いいから!
鈴、きっとクリスマスのお祝いした事ねーし。
クリスマスっていうのがダメなら、おみやげって。
冬はさ、そんな日常の何気ない事にすっげー憧れてた。
でも、自分はきっと出来ないって。
だから、クリスマスも誕生日も季節毎の行事も、二人でって。
鈴も、わかんねーけど、きっとそーゆーの始めてと思う。」
「…鈴は、冬とは違う…。」
「でも、鈴はまだガキだぞ?」
鈴はまだ、15…。
でも、鈴は…。
「ま、なんにせよ、食ってくれな!」
「あっ!おい!!」
……行ってしまった…。
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