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とりあえず、帳簿の整理にヘアサロンに行って、午後から店長に電話して、なにも噴き出してなければ今日は一日こっちにいよう。
今日は日曜でヘアサロンが忙しい日だ。
予約もかなり入っている。
クリスマス前に綺麗になりたいという女性は多い。
男性についても今年のうちにスッキリしておきたいという人は多いのだ。
「清水さん、段取りいけそう?」
「はい、アシスタントさん頼りですね。」
スタイリストが段取り良く何人かの客を捌く。
髪を切っている間に、他の客の染髪を指示どおりに塗っていく。
アシスタントがスタイリストの思いを組んで率先して動いてくれないと渋滞が起こる。
スタイリストとの相性もあるため、良いと思うアシスタントは、うちのサロンではアシスタントの給料も他のサロンよりは高めに出している。
可能であれば、ここでスタイリストとしてデビューして欲しいからだ。
「由美ちゃん?彼女なら大丈夫そうだね。」
ロングヘアのお客様の染髪、ストレート。
同じ時間に他のお客様のカットの予約。
30分後の来店にセミロングのお客様のパーマ。
4時間コース、45分コース、2時間コース。
うん、上手に回せば大丈夫そうだ。
清水さんも最近アシスタントからスタイリストに上がった子だ。
たまに施術に不安なところはリーダーに確認してもらうという、誠実な対応が高得点の子だ。
順調に成長していっている様子は、とても好ましい。
「清水さん、髪型好評だよ。ありがとう。」
練習台と称して、失恋の痛手を忘れるために髪を切った。
カラーも入れて、前より誠実そうな雰囲気になった。
「ふふ、前の髪型もお似合いでしたけど、我ながら上手く出来たと思います。」
頭の形、髪質、顔の輪郭、目鼻の位置、肌の色合い。
総合的にデザインをしていく。
鋏を入れてお客様に気に入ってもらえた喜びは、なにものにも変えがたい嬉しさだ。
「じゃあ、今日も一日よろしくお願いします。」
女性フロアスタッフに声をかけて上の階にあがった。
奥にこもって売上を確認していく。
ここ一週間の売上を前年の売上と比較する。
最近おみえでないお客様をピックアップし、クーポン付きメールの配信をセットした。
さて、在庫管理でもしようか。
そう立ち上がったところでスタッフから声がかかった。
「オーナー、ご新規様です。」
一瞬断ろうかと思った。
男性フロアのスタッフも女性フロアのスタッフも、今日は予約で手一杯だ。
必然的に新規のお客様の対応は自分がしなければならない。
「・・・受付して。」
ほんの気まぐれだった。
何となく、鋏を持とうかな。と思ったのだ。
その気まぐれが、生涯のパートナーと出逢うきっかけだった。
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