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そんなわけで、初ゲイバーに行ってみた俺は拍子抜けした。
ママは、ゴツメの・・・な感じで、面白い人だった。
客は俺しかいなくて、ついつい来店の理由を話した。
「なので、自分を試すために来てみました。」
「へぇ?じゃあ、ワタシと試してみる?」
ぶんぶんと顔を振った。
「やぁねぇ、即答だわ。」
聞くとお店は21時過ぎから賑やかになるらしい。
「だから、いろんな人と会って観察してみたらいいわ。気に入った人がいたら、お持ち帰っても帰られても良いでしょうし。もともと嫌悪感は無いんでしょ?」
「はい。それも個性だと思うので。」
時計を見ると、まだ20時だ。
何だか長居することになりそうだった。
「若いみたいだけど、大学生なの?」
「はい、3年生です。」
「あら、就活始める時期じゃない?」
どうせ、もう会うことのない人だ。
だから、ついポロッと将来について悩んでいることを話した。
「気持ちばっかり焦るんです。」
そう言うと、ママは不敵に笑った。
「人に流されない人生送ってみたら?大企業だけが会社じゃないのよ。ベンチャー企業だけが、発展してるわけでもない。エントリーしたくないなら、しなければいい。みんなに合わせる必要はないわ。いつか、コレ!って思える仕事に出会うわよ。」
流されない人生、か。
たしかに、サマーインターンシップにみんながエントリーするから焦ったのかも。
でも、内定もらえたりするんだよね・・・。
「なんの仕事が楽しいと思う?」
「んー・・・、今やってるバイトがあるんですけど、正直嫌いじゃないです。」
「あら、その仕事じゃダメなの?」
やっぱりそうなるよね。
「タイムスケジュールとか料理の出てくる時間とか考えて動くのは楽しいです。披露宴も宴会もイベントも働いてて楽しいと思います。でも、これだけやってても成長出来ない気がするんです。」
「例えば?」
んー。
「どうせなら、お客様の予算内でどんな事ができるとかって提案もしたいし、スタッフの動かし方とかも考えたい。でも、就職ってなったらホテル全体が職場になるから、宿泊の方の担当になるかもしれないし、レストランに配属されるかもしれない。ただの駒にかならない事が分かってるのに、一生の仕事として就職するのは・・・違う気がする。」
ビールのお代わりを頼んだ。
「・・・はい、どうぞ。ってことは、つまりQちゃんは計画したり人を動かす側になりたいってことね。」
人を、動かす・・・。
ああ、そうかも。
もっといい動きが出来るはずなのに出来てないと指導したくなる。
助けてあげたいし、次に繋げてあげたい。
ふと、松岡くんを思い出した。
ちょっとドジな慌てん坊の松岡くんは、一生懸命頑張っているのを知っている。
応援したくて、手を差し伸べた。
そっか。
妙に納得した。
となると、管理職を目指すってこと?
気が遠くなるよ。
「理想は、そうですね。でも、・・・。」
「あらぁ、いらっしゃぁい!山ぴー、久しぶりぃ!ずいぶん可愛い子連れてるじゃないノォ。」
二人組の来客だった。
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