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夜明けの空。にしおりをはさみました!
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夜明けの空。
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「大丈夫、どうとでもなる。」
シンガポールドルに両替をすることを忘れていたおれは、風見さんから大丈夫だと言ってもらった。
「ここでも両替できるけど、うどん屋さんの近くまで戻る必要があるから、シンガポールで替えよう。」
うどん屋さんは、ここからかなり離れている。
不安で椅子に座る風見さんを見つめた。
「だから、大丈夫。両替は付いて行ってあげるよ。」
良かった。
日本語通じないところで、両替なんて怖くて出来ない。
「ありがとうございます!」
「エドワードに連絡してくる?」
気になったけど、風見さんの洗顔が先だ。
もう少し後でも大丈夫。
「いえ、先に風見さんが歯磨きに行かれて下さい。戻られてから連絡します。」
「俺が戻ってくるまで、ぜっ・た・い・に、ここを動かないって約束できる?」
約束できる。
しっかりと頷いた。
勉強した。
まず、空港に到着したらチケットを発券してもらって、荷物のレントゲンと、おれはバンザイと、パスポートに印鑑を押してもらう。
お金はちゃんと両替して、持っておく。
あと、パスポートとチケットと書類は失くさない。
ひとりでエドワード様に逢いに行くことが出来るようにシミュレーションした。
「もうすぐ、逢いにいきます。」
携帯をギュッと握りしめた。
※ ※ ※
エドワードはなかなか連絡が無いことが気になっていた。
「Don't get irritated. 」(イライラするなよ。)
トオルがにやにやしながらビールを開けた。
「Drop dead!」(あっち行け!)
勝手に入ってきて、ビールを取っていく。
恋人がやってくることを知っているトオルは、ここ数日ずっと からかってきた。
イライラとソファーの肘掛を叩きながら、書類をめくった。
週明け、契約しなければならない案件がある。
双方の会社のリーガルチェック済みの書類が上がってきたが、素直にサインをする気にならなかった。
きちんと目を通して、隅々まで把握してからサインをしなければならない。
「It is necessary to add one sentence. 」
「ん?」
「一文、加エル必要ガアル。」
書類を指差して指示した。
「細かいな・・・。」
ジロリと睨むと、トオルは笑いながら謝った。
「分かった、分かりました。明日、彼らを迎えに行った後に修正したものを提出しますよ。オッケーなら、相手の会社さんにメールで送っておく。向こうもチェックするだろうから、月曜の契約はズレるかもな。」
頷いた。
明日は会社は休みだ。
だからこそ、風見を呼んだ。
社内を自由に動き、設備の確認ができるからだ。
「I'm depending on you. 」
(頼んだぞ。)
肩を竦めながら、トオルは部屋を出て行った。
シンサク・・・。
彼が一緒だから間違いはないだろうが、きちんと空港へ辿り着けているだろうか。
鳴らない携帯を見ながら、エドワードは溜息をついたのだった。
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