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隠し事にしおりをはさみました!
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隠し事
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結局僕が教室の中に入ったのは、チャイムが鳴るギリギリでした。
高橋「おー、星野。今日めっちゃ遅いじゃん。休みかと思った」
僕「………えへへ、ちょっと作業に時間かかっちゃって………」
僕は透くんに不自然に思われないように誤魔化しました。
高橋「………星野、なんかあった……?」
ビクっ………
………なんで僕ってこう、隠し事が下手なんだろう………
僕「………えっと、全然大したことじゃないから大丈夫だよ」
高橋「………ふーん……。まぁ、あんま無理すんなよ」
透くんはあまり納得の行っていない様子ですが、気を使って深くまでは聞かないでくれました。
…………ありがとう………透くん……
僕はそんな透くんにまた目がウルっときてしまいました。
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その日の放課後、僕は昇降口で靴に履き替えて帰ろうとしていました。
今日は部活動はありません。
昇降口を出て、歩こうとしたらいつものように犀夜さんが壁に寄りかかって立っていました。
携帯をいじっていた犀夜さんは僕がきたことに気づくと「春、帰ろう」とまたいつものように言うのです。
…………えっと…、大丈夫かな……………。
……でも犀夜さんとせっかく一緒に居られる時間だし……、我慢したくない……
萩野「………春?」
僕「……あっ、ごめんない、ちょっとぼーっとしてましたっ」
僕は慌てて犀夜さんのそばに駆け寄って一緒に歩き出しました。
僕「えっと、それで………………………、っ…!」
僕が萩野先輩と話しながら校門を出ようとした時、背中に物凄く視線が刺さるような気がしました。
僕はゾクっとなって、思わず後ろを振り返りました。
すると、ずっと向こうであの女の先輩たちが僕たちの方をじっと見ていました。
その視線が、ずっと見ているからと言われているようで僕の思考は停止してしまいました。
………………ぁ………、……ダメだ……
萩野「どうした、春?」
萩野先輩の声が聞こえてきて、僕ははっと元の場所に視線を戻しました。
僕「あ…、ご、ごめんなさいっ。僕っ、用事あるの忘れてて……っ、は、早く帰らないと……っ、ほ、本当にごめんなさいっ」
僕はそれだけ口早に言うと、犀夜さんの隣から離れて、駆け出しました。
萩野「……あ、ちょっと!春!!」
後ろから犀夜さんの呼び止める声が聞こえます。
もしかして、犀夜さんは気づいてくれたんじゃないかって、もしかしたら大丈夫だからって言ってくれるんじゃないかって、そんなわずかな期待をして、僕は走りながらも犀夜さんを振り返りました。
萩野「……またね、気をつけて帰るんだよ」
………………ぁ………、
僕「………はいっ」
犀夜さんは普通に別れの挨拶してくれただけなのに、悲しくなる方が場違いだって何度も自分に言い聞かせて、僕は精一杯の笑顔でまた走り出しました。
僕「………ぅ……っ、ひ……っ、…」
本当は助けて、助けてって犀夜さんに縋りたい。
だけどそれじゃああの女の先輩に負けた気がしてどうしてもできませんでした。
泣くな、泣いちゃダメと思いながら唇を噛み締めました。
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