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18歳以上ですか?
173にしおりをはさみました!
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173
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渡辺side‥
今日、帰りのSTで休み明けテストの結果を返された。
思ってた通り結果は散々で、毎日バイトに明け暮れてた夏休みの自分を少しだけ恨んだ。
まあ、高木っちから逃げられないって聞いてたから多少の覚悟はしてた。
でもさあぁぁ…。
「えーっと、うちのクラスは…一人か。
はぁ…。まあわかってたけどさー、渡辺…。」
呆れた目してこっち見るの辞めてくれるかなあ?!
「お前見た目だけ賢くなっても意味ねーぞ…。」
教室がドッと笑いに包まれる。
何も面白くないし…補習あるの知ってたらもう少しシフト調整してもらったしー!!
さようならの号令と同時に高木っちがウチの方に
歩いてくる。
「全教科赤点なんて大したもんだなァ渡辺さん。」
ですよねー。ウチもそう思う。
答案用紙見返すと結構簡単な問題も読み間違いだったり
記号問題なのにご丁寧に単語で埋めたり
そこそこ取れただろうテストを見事にバツマークが
埋め尽くしてた。
「お前バイトしてんだろ。店に連絡しとけよ
悪いけど補習優先してもらうからな。」
相変わらず不機嫌そうな顔でウチを見下ろす高木っち。
あぁ、もう。なんでそんなムカつく事言ってくるのに
こんなに格好良いのばかーっ。
…ということで、ただでさえ人手不足のドラッグストアに
慌てて電話を入れて、来週一週間なんとか休みが貰えるようにお願いした。
店長だったらその場で雷が落っこちる所だったけど
運良くバイトリーダーが電話を取ってくれたおかげで
その場は凌げた。
次に店長とかぶった日が怖くて仕方ない。
「……じゃ、放課後化学室だから。忘れんなよ。」
「はーーい…。………っあ、そうだ高木っち!」
最後にもう一つ大きなため息をついて教室を出て行こうとする高木っちを、慌てて呼び止めた。
そうだ。
誘おう、誘おうと思っていて忘れてたんだ
今週末の大事なイベント。
廊下に出かけた足を止め、のそのそと戻って来てくれる
高木っちの優しさに、ちょっと心臓の動きが早まる。
「あ、あのさ…今週の土曜日クラス皆で体育祭の
打ち上げやるんだけど、高木っちも来れないかな?」
「打ち上げ?…高校生だけで?」
驚いた顔したあと、ちょっと疑いの目をかけられたけど
うん、特に嫌ではなさそう。
高木っちは一見クールであまり表情を変えないように思えるけど、実際そんなことなくて
不安とか驚いた時、細い眉毛はピクピク動くし
楽しかったらそれなりに口角も上がるし
嬉しいときは頭を掻いて目を逸らす。
全部、悔しいけど…ゆきちゃんと話してる姿を見ると
表情の動きがよくわかった。
「もちろん、お酒は禁止で予約したお店も了解してるし
11時までには帰るよ!」
お店はクラスの子のバイト先で、小さな居酒屋を貸し切って行う。もう予約もしてある。
それにこの周辺の補導対象時間は夜の23時以降だもん。
この条件なら何も悪くないでしょ?て
高木っちにキラキラした目を向けてみる。
「んー…そうだなぁ、まぁ土曜日なら…空いてるけど。」
教室に残っていた数人の生徒も聞いていたみたいで、
ウチの席の周りにわらわらと集まってきた。
「高木先生の背面跳びめっちゃかっこよかったですし!」
「やっぱ主役でしょ〜!!」
「来てくれるか不安で誘う勇気なかったんだよねー!」
「……ったく。しゃーねーな。」
ため息と一緒にガシガシと後頭部を掻く手元を見て
思わず笑ってしまう。
なんだかんだ、生徒の事をちゃんと愛してくれる
高木っちだから
こうやって自分の生徒から褒めてもらえるのとか、学校以外での誘いも嬉しかったりするのかな?
やっぱり大好きだなぁ。
生徒に囲まれてあからさまに嫌そうな顔をする高木っちを見て、そんな事を思った。
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