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187にしおりをはさみました!
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187
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氏原side‥₂
結局、心ちゃんの服を何着か見て、誕生日プレゼントを
買いたいと言って譲らない彼女に負けてカーディガンを
一着買ってもらった。
気付けば窓から見える空が少し赤味がかっている気がする。
「そろそろ…向かおうか?」
「うん!そうだね!ゆきちゃんが来てくれるなら
きっとみんなも喜ぶよー!!」
「ほんとかな〜?」
まだ少し時間は早かったけど、僕達は駐車場へ向かった
あまり遅くなってしまうと、この辺りは一気にネオン色に姿を変える。
そうなる前に、心ちゃんをここから引き離す必要があった。
彼女の為ではなく、自分の為に。
車に乗り込み、今度は誰にも遭遇しなかったことに安堵の息をつきつつ車を走らせた。
「あっ!ゆきちゃん、この曲知ってるよ!Ricky!」
車で流していた音楽に、心ちゃんが耳を傾ける。
最近メディアに露出しだした、顔を見せない
シンガーソングライター”Ricky”。
彼と康明が昔の友人だったと知って、影響された僕は
Rickyの曲をほとんど毎日車で流していた。
「いい曲だよね。」
「うんうん!この高音の掠れた感じとか最高〜!!」
康明は、特に隠してもないと思うけど
僕と康明2人の秘密…の、ような気がして
Rickyと康明との繋がりは教えてあげたくなかった。
こういう所が、心ちゃんと違って
僕の汚いところなんだよな。
この子の隣にいると、自分の嫌な所が浮き彫りになっていくようで、少し苦しい。
僕とは違って、眩しすぎるその光が羨ましい。
「はい、着いたよ。」
心ちゃんが教えてくれた、小さな居酒屋の前で車をとめる。
道が混んでいたせいもあり、集合時間の10分前という
丁度いい時間に到着した。
「わ、ゆきちゃんありがとう!行こう行こう!!」
グイグイ腕を引っ張ってくる心ちゃんに、
よろけそうになりながら必死について行く。
仕切りを取っぱらった広間からは、もう大勢の声がしていた。
「えー、高木先生もっと中入ってよー!」
「あ?俺はここでいいんだよ。」
…あ、康明ももういるみたい…。
トクンと胸が高鳴る。
心ちゃんの腕を引かれてみんなの前まで来ると、
クラスの子たちがわっと歓迎してくれた。
口を開けて固まる康明に、思わず心ちゃんと2人
吹き出した。
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