アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
223にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
223
-
渡辺side‥
「ともなり~…本当ウチらって
いつも幸せになれないよねぇ…っう……っ」
無駄に広い化学室に消えていく声は
まるで自分のものとは思えないほど弱々しい。
ほんの少し香るタバコの匂い。
おそらくウチが来る前に窓を開けて吸ってたんだろう。
まだ暑い季節にクーラーもかけずに、あの高木っちが待ってるはずがないもん。
高木っち、行っちゃったなあ…。
こんなこと、ゆきちゃんの親友として絶対に思ったらいけない事なのに、
もし高木っちがあのままここに居てくれてたら…って
少しだけ考えてしまった。
ゆきちゃんの事、それくらいの気持ちなら
もっと本気出して高木っちに振り向いてもらえるようにしないとって思った。
そんな夢みたいなこと、あるはずないのに。
ゆきちゃんと居ると、ウチはもう高木っちの事、別に好きじゃないんじゃないかと思うことが何度かあった。
でも違った。
ゆきちゃんの事も、高木っちの事も大好きだった。
大好きな2人がうまくいくのはすごく嬉しいはずなのに
うまくいかないで、と願う自分がいる。
うまくいかなければ確かに嬉しいのに
2人の苦しそうな顔を見ているともっと辛くなるんだ。
自分の感情がよくわからないや。
今、ウチはなんで泣いてるんだろう。
「……ぅ~…っ、好き、好きだった…よぉ~……うぇっ、ヒック…っ」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
225 / 448