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成田家に着いた俺は親父さんの留守をいいことに晩の飯の支度をバックレてそのまま風呂に入った。
もちろん腹は減ってる。
だけど…なんか成田の顔を見ながら飯なんぞ食う気にはならなかった。
さっきのあの、中野さん?
あの話を聞いてからなんかよくわかんねぇけどムカムカする。
ドア越しに聞いてたから成田の顔はわかんねぇけど…戸惑った声はしてたけど。
「なんだよ。ちゃっかりオンナにモテてんじゃねぇかよ!」
そういえば昔もそんな話し聞いたことあったな。
…誰かが言ってたっけ。
『成田も瀬能から離れりゃまともに彼女作れんじゃんか!』
その言い草がまるで俺が悪いみたいに聞こえて俺はそう言った奴をぶん殴った記憶がある。
「ありゃ、あながち間違いじゃなかったんだな。」
呟きながら俺はシャワーのコックを捻って湯を止めた。
バスタブに張った湯船に浸かって目を閉じて…なんか色々と考えてから上がって風呂を出る。
ガラスの折り戸を押し開けて脱衣所に上がり濡れた身体を拭きながらふと視線を上げる…と?
「…のヤロウ!」
鏡に映った俺の鎖骨のチョイ上辺りにうっすらと赤い痕があった。
朝は気付かなかったが…これは間違いなく、アレだろ。
「クッソ成田!マジでクソだなあいつ!」
舌打ちをして、拭き上げた身体にスウェットをまとう。
風呂場と脱衣所の電気を消してドアを開けると。
「…呼んだ?」
さっき罵ってたヤツが苦笑いをしながら立っていた。
「呼んでねぇよ。」
「聞こえたよ?クソクソ言ってたっしょ?」
「………」
それには答えずヤツを置いてその場をあとにする。
だけど案の定その後ろにはヤツがぴったりとついて来てて。
「ついてくんなよ。」
「だって俺の部屋、二階だし。」
「じゃあ先に行けよ。めんどくせぇな。」
「足が痛くて早く歩けないんだもんショーガナイっしょ!」
二階に上がり切ったところで言われてなんとなしに下をみると。
「なんだよその足。」
「んー?なんかがガンッって落ちてきた感じ?」
ヤツの足の甲が丸く青紫になっててほんのり腫れていた。
「ドジやらかしたんじゃねぇの?ダッセ!」
言い放って俺は開けたドアをヤツの目の前で力一杯に閉めた。
暗い部屋を歩いてベッドにつき、ばったりと倒れ落ちる。
そして…ふと。
「あれ…?」
帰り道でアイツの足の甲を思いっきり踏みつけたことを思い出した。
慌てて起き上がり部屋のドアを開ける。
だけど今日に限ってそこにヤツはいなくて。
「なんでいねぇんだよ!」
走り出した俺はそのままの勢いで階段を駆け下り中から音のする風呂場のドアを開けた。
電気が煌々と点いている脱衣所の奥にあるガラスの折り戸を強く押して中に入ると、そこには…頭を泡だらけにした成田がビックリ顔で座ってこっちを見てて。
「なに、どうしたの圭ちゃん?」
「なんだよ!お前、なんなんだよ!」
「は?いやそれ…俺が聞きたいんだけど?」
文句を言おうと口を開きかけた目の前でシャワーが出される。
反射的によけた俺をよそにヤツはお湯を頭から被って泡を洗い流し…。
キュッ。
コックを捻って湯を止めた。
そしてそのまま立ち上がると腕を伸ばして俺に触れ、引き寄せるなりびしょ濡れの懐に収めた。
「なにすんだよ!濡れるだろうが!」
「いやいや…そこは我慢してよ。」
目の前にあるヤツの胸がドキドキと音を立てている…ように感じる。
実際聞こえてるわけじゃないがなんとなくそう思った。
「圭ちゃん?」
「…んだよ。」
「足痛いからさ、晩ご飯作ってくんないかな?」
「は?なんだそれ!」
いつものように飄々としてる成田の声に、渦巻いてるモヤモヤが消えていくのを感じる。
「できればチャーハンがいいです。」
「なんで敬語?」
俺を離した成田はなぜだか物凄く嬉しそうな顔をしてよこして。
「そのあとで…圭ちゃんを腹一杯食わせてくれると嬉しいな。」
満面の笑みを浮かべた成田を見上げて俺は、青紫になってるヤツの足の甲を遠慮なく力一杯踏みつけてやった。
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