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何者にしおりをはさみました!
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何者
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「うるさい…!!」
机に皿を並べていると、書斎から本が落ちる音と、翔ちゃんの怒鳴り声が聞こえた。
(どうしたんだろう…)
僕は翔ちゃんの元へ急いで向かった。
書斎の前に来て、ドアをノックするも反応が無い。
「開けるよ」
ゆっくりとドアを開けると、翔ちゃんが本棚に寄りかかって座っているのを見つけた。
少し本が床に散らかっている。
本を避けながら歩いて行くと、何か小さな紙を踏んづけた。
「これ…」
足の裏に付いたそれは、大事にしていた栞だった。
翔ちゃんに描いてもらった、小さな落書き。
未練たらしく、ずっと使っていたものだ。
もしかして、これを見てしまったのだろうか。
油断していた。
別の場所に隠しておけば良かった。
「ん゛ん…」
「翔ちゃん?」
咳払いをすると、翔ちゃんはゆっくり立ち上がった。
こちらを振り向くと、ニッコリ笑った。
何か変だ。
「ごめん。散らかした」
「…どうかしたの?」
「後で話すよ。俺、もうお腹空いた」
彼は俺の横をすり抜け、廊下に出た。
リビングに向かって歩く彼に、僕は言葉を放った。
「君は、誰?」
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