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中学一年生にしおりをはさみました!
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中学一年生
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(それにしても、学校来るの遅いな)
癖毛の後頭部が、今日は見当たらない。
誰も座らない前の席が、少し寂しく見えた。
「休み…なのかな」
「ん?何が?」
「ほら、多田くん。今日は珍しく遅刻かなって思って」
「…さあ〜?知らねえけど。何でそんな事気にするんだ?仲原ってアイツと仲良かったっけ」
「…いや、別に良いんだ。うん」
ぽろっと溢れた独り言を拾われて、少し焦った。
(別に焦る要素なんてどこにも無いのに…)
モヤモヤしながら机で頬杖をついていると、チャイムが鳴った。
それと同時に先生が教室に入ってきて、HRが始まった。
いつも通り出席を取っていると、案の定先生の手が止まった。
「えっーと、…多田は休み?誰か連絡来てないか〜?」
「………」
誰も返事をしない。
多田くんと連絡を取る奴なんて、僕含めこのクラスには一人も居ないだろうから仕方ない。
先生は続け様にこう言った。
「もし今日休みだったら、家までプリント届けてくれる奴いないか?」
「………」
せっかちな先生は、出席簿をペンで叩いた。
「なあ、同じクラスの仲間だろ〜?心優しい奴はいないのかね」
周りを見渡しても、みんな下を向いている。
先生と目を合わすのを避けてるみたいだ。
「……先生、僕がやります」
「お、そうか。ありがとう」
結局僕が手を挙げた。
(今日は家庭教師が休みだから。みんな手を挙げないから仕方ないんだ)
頭の中で言い訳を並べ立てていたけど、胸の高鳴りは止まらなかった。
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