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あぁ、夢とは何処まで
俺に都合の良いように出来ているんだろう。
「可愛すぎるよ…竹内さん。」
伸ばした腕は、誰にも咎められる事なく
俺自身の制止をも無視して佐々木の背に回る。
艶もない、梅雨時なんかは一生うねりに苦しめられる癖毛を愛おしそうに指に絡める佐々木が
見た事もないような優しげな面持ちで俺を瞳に映した。
「竹内って……やめ、ろ。」
「え?」
もう、ここまで来てしまったのだ。
こうなれば、きっとこの先の我儘など簡単に許されるに決まっている。
深く息を吸い込み…いや、実際には重苦しい男子高校生の体重がかかっているからそう多くの酸素は取り入れられないのだが。
メッセージアプリの、ここ数日見ないふりをしてきたある名前を口にした。
「い、おり……。俺の名前も、呼んでほしい…。」
「っ!」
それまで野生の犬ほどの鋭さを孕んでいた目元が、一瞬にして小型犬のそれへ変わる。
通常の彼に戻ったその姿に、ふと安心感を覚えたのも束の間。
夢ならば俺の名前くらい呼べて当然と思っていたが、自分の記憶にある限りで“佐々木は俺の名前を知らない”という情報がある以上、そう上手くはいかないもので。
「…じゃ、教えて?名前…呼びながら抱きたい。」
「………ぅ、」
そんなドストレートに言うものでもないだろう。
つい突っ込んでしまいたくもなったが、それを言えば現実と何ら変わりない日常会話へと戻ってしまう気がして、喉元まで出かかった言葉を慌てて引っ込める。
ついでに言えば、抱かれる気満々の俺もどうかと思うが
抱く気満々のこいつもどうにかならないものか。
……いや、それはそうでないと淫夢が淫夢として成立しないか。
「…早く。」
「…ぁ、あっちょ……ッ!」
一人で考え込んでいると、遂に痺れを切らした佐々木の手が内腿を撫でる。
妙にヌルヌルとした感触は、先程これでもかというほど塗りたくられたローションのせいだろう。
準備はもう、済んでいる。
気持ちだって、出来上がっている。
あとは…この先に待ち受ける行為だけ。
夢の続きを描くには、俺のたった一言が必要不可欠という事だ。
「早くしないと〜、あんたの名前永遠に呼んであげないよ。……いいの?」
煽るように片方の眉を上げ、視界に入らない佐々木の指先は入念に弄り回された秘部へと向かう。
完全に勃ち上がったソレを自身に擦り付けられ、腰が浮いて。
とうとう我慢ならなくなり、消え入りそうな声で呟いた3文字の言葉を
しっかりと聞き届けた“いおり”は
即座に俺の膝裏に両手を忍ばせる。
「へえ…やっぱ、名前も格好良い。
沢山呼んであげるね。暁人さん。」
“あきとさん”
いおりから貰った新しい呼び名に、胸というか喉のもっと浅い所が急に苦しくなって
多くの人から何度も呼ばれてきた筈のそれが
他の何より特別なものに聞こえた。
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