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ちゃらお君は甘党(3)にしおりをはさみました!
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ちゃらお君は甘党(3)
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恭弥とちとせは案内された席に着くとメニューを眺めた。
「とりあえずガトーショコラは食べるよな!デザートセットにしたドリンク付くしちょっとお得らしいぞ………瀬戸?」
「あぁうん、聞いてる聞いてる」
聞いていなかった人間の常套句にちとせはジト目で恭弥を見る。
「あーえっと、ごめん」
「…飲み物は?」
「飲む」
「俺アイスティーにする、瀬戸は?」
「ん〜アイスココア」
(え、ガトーショコラとアイスココア?)
ちとせは内心で恭弥の甘党ぶりに引いているが何も言わずに呼び鈴を押した。すぐに店員がやってきて注文を聞き去っていった。
「そう言えば最近生徒会の集まりないけど仕事ってないのか?」
「ないんじゃない?たまに生徒会室行くけど律とたまに斗真がいるくらいで他のメンバーは来てないよ」
「たまに行くのか」
「ソファあるし他人があんまり来ないから静かでいいよ。ちとせも自由に使えば?」
「いや、俺はいいや…」
「斗真?」
「……」
「まぁ俺はどっちも応援してるけどね」
「お待たせいたしました、デザートセットでございます」
店員がきてコトリと皿とグラスを置く。汚れ一つない真っ白な皿に載った焦げ茶色のガトーショコラととろりとしたクリームは2人の目を釘付けにした。店員の「ごゆっくりどうぞ」と言う言葉は全く耳に入らない。
「うわ、きた、やば」
「ちとせ語彙力やばい」
「瀬戸も人のこと言えないだろ」
2人ともガトーショコラから視線を外すことなく言い合いフォークを手に取る。
「「いただきます…」」
揃ってボソリと小声で呟くと小さく三角の先を切って一口…
「んんんん〜〜〜」
頬を緩ませて噛み締めるちとせ。
「……」
美味しさに言葉を無くす恭弥。
それぞれがひとりで堪能した後視線を合わせる。無言でやばい、やばいな、美味い、何これと頷き合う。
そんな2人を周囲が微笑ましいと眺めていたことなど気がつかない。
美味い美味いと2人は食べ進めていたがふと恭弥がスマホを取り出した。それに気がついていないちとせは満面の笑みでガトーショコラを食べていた。
___カシャ
「ん?」
フォークを口に運んだ状態のままぽかんと恭弥を見上げるちとせにカメラを向けてもう一度カシャとシャッターを切る。
「何撮ってんだ…」
満面の笑みだった顔が一変、嫌そうな顔へと変わった。
「記念だよ記念」
「何のだよ」
「俺たち2人の初デート記念?」
「……」
「まぁまぁ減るものでもないしいいでしょ!ほら食べよ」
そう言われ、スマホを片手にアイスココアを飲む恭弥を睨みつけつつもちとせは食べるのを再開させ、恭弥もまたにこにことちとせを眺めながらガトーショコラとアイスココアを味わった。
___……
「美味しかったぁ〜また来ないとね」
「そうだな。瀬戸、今何時?」
「自分で見なよ…18時前」
「そろそろ帰るか?」
「そうだね、俺この後予定あるし」
(今から向かったらせいが帰ってくるくらいになるかなぁ〜)
「今から…?女か」
こんな時間から予定があるなんて聞いていなかったちとせはどうせ女だろうと呆れた様子で恭弥を見る。
「違うよ」
男だし彼氏だしなどと考えている恭弥はいつもの飄々とした様子でも、人を揶揄って楽しむ時の意地の悪い顔つきでもない。ちとせは初めて見る恭弥のその顔を不思議に思う。
「なんかいい事でもあんの?」
「ん〜?まぁそうかな」
「ふーん?」
ちとせは気にはなるものの、そこまで興味があるわけでもないと適当に返して駅に向かう。その隣をヘラりとした笑いを浮かべた恭弥が歩いた。
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