アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
寂しいが言えない-2にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
寂しいが言えない-2
-
前のページの続きで、智(Dom)視点です。
良ければ前のページから読んで頂ければと思います。
今回の件は全て那月が悪いわけではない。
ちゃんと言ってくれなかったのはそりゃ悲しかったけど、気付いてあげられなかった俺も悪いと思う。
最初からglareを出して那月を向かい入れたのが悪かった。
俺のglareに当てられた那月はただ、ごめんねと繰り返しながら涙を流し続けた。
dropしかけた那月をcareしてspaseまで持っていくのはとても大変だ。
完全にdropしてしまうと那月に俺の声は届かない。そうなる前に何とか意識だけでも俺の方に向ける必要がある。
俺はすぐにglareを引っ込めて、那月の隣に座った。
「那月、那月」
ひたすら名前を呼びながら優しく肩をさする。
流しすぎた涙は次第に乾いてきて、呼吸も段々と浅くなってきている。
ヒューヒューと乾いた呼吸音が耳につく。
「那月、大丈夫だから、ゆっくり息吸って吐いて、吸って、吐いて」
那月の手に手を重ねて那月の意識がこっちに向くように声をかける。呼吸が整うようにゆっくり優しく指示をする。
那月は俺の声に合わせてゆっくりと呼吸を繰り返す。
何度か繰り返しているうちに那月の呼吸は段々と落ち着いてきた。
「落ち着いた?」
なるべく優しい声音で問いかける。
那月はコクンと首を縦に振っただけで何も言わなかった。
「...智、ごめんね。俺もっと良いsubに慣れるように頑張るから、見捨てないで」
今にも消えそうな程の、小さい声で那月がそう言った。言い終わった後にキュッと唇の端を噛んだのを俺は視界の端に捉えた。
「那月はもう十分良いsubだよ」
那月が安心するよう、那月の手に重なる自分の手に少し力を込める。
「でも、俺...、勝手に薬飲んで、智に迷惑ばっかり掛けて、今日のご飯だって楽しみにしてたのに、こんなことで...俺が、我慢出来なかったから」
那月に俺の声が届いているのか不安になる。
subの性質なのか、那月の性格なのか、那月はたまに凄くネガティブ思考になる。
こうなってしまうと俺が何を言っても那月は聞こうとしない。
「那月、大丈夫、大丈夫だから、ね?」
俺はただ大丈夫とそれだけを繰り返しながら那月の手を強く握る事しか出来なかった。
もう何度大丈夫と言ったかも分からない。
「智は俺の事見捨てないでいてくれる?」
那月が目に溜まった涙を拭きながら俺の方を不安そうに見てくる。
「見捨てなんかしないよ。今度からは寂しかったらちゃんと言ってね、薬も飲む前に教えてね」
俺は那月を力いっぱい抱きしめながらなるべく優しくそう言った。
那月も少し戸惑いながらではあるが、俺を抱きしめ返してくれて、「うん」と小さい声で返事をする。
次に那月がちゃんと俺に寂しいと言ってくれるか、薬を飲む前に何らかのSOSを出してくれるかは分からないが、少しでも那月が寂しくないように、今後の仕事のスケジュール管理をしっかりしようと密かに胸に誓った。
「じゃあご飯にしようか?」
俺は冷めてしまったご飯を温めるためにキッチンへと向かおうと那月の背中に回していた腕の力を抜いた。
「あの、もうちょっとだけこのままでいさせて?」
那月が俺を離すまいと少し腕に力を込めて今にも消え入りそうな声で可愛らしいおねだりをしてきた。
あ〜、たまにはこういうのも良いかもな。と思ったのは那月には内緒にしておこうと思う。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
11 / 12