アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
83.にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
83.
-
「凪、そろそろ飯にするか」
うちにきてから数週間、凪はしっかり言葉もわかるようになっていて、
俺の問いかけに頷いてソファからダイニングテーブルに移動する。
その動作はゆっくりではあるが、一人で歩けるようになっている。
そのおかげか少しは体力もついたようで、今は一人でトイレにも行くし、シャワーも浴びられるようになっている。
先日きた久米さんがまるで自分の子供の成長を喜ぶようにはしゃいでいたっけ。
自分一人で暮らしていたときは、食べるものにさほど興味もなかったので、
外食で簡単に済ませるか、米を炊いて適当なおかずでぱぱっと済ませていたが、栄養面にも気を付けるよう病院から言われているので、食卓には緑黄色野菜と肉、野菜、果物などをバランスよく出すようにした。
もともと弓弦の飯は俺が作っていたから家事には慣れていたし、
誰かのために料理をするのは嫌いじゃない。
食事をとれるようになってきた凪には、少しばかり好き嫌いもでてきた。
好物はハンバーグのようで、出してやるときはうれしそうな顔をするし、
そのほかは、肉じゃがや煮魚なんかも好きだ。
恐らく、祖父母と暮らしていたというからその影響だろう。
嫌いな食べ物はキノコ類で、この間作った和風パスタのキノコをすべて避けていたので、さすがに笑ってしまった。
「今日はシチューにしたぞ、好きだろ?」
「……」
小さく頷いて嬉しそうな柔らかい表情をすると、ゆっくりと小さな口をあけて咀嚼する。
食事中も担当医から言われたように俺が中心になって世間話をして聞かせた。
言葉を話さない凪にとって、周りから聞こえる話声にはいい刺激をうけるそうだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
83 / 212