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それから、俺と凪、二人の歪な生活が始まった。
退院までの間に、凪の担当医が俺の自宅に訪れて、フラッシュバックを引き起こすものがないかをチェックした。
特に凪が刺されたというハサミやフォーク、ナイフなどの刃物はすべて目につかないところに移動する必要があったし、体に傷がつきそうなものもすべてリビングや寝室から撤去された。
もともと荷物が少なかった部屋に、凪用のボックス型ベッドを入れて、
尖っている家具の端にはコーナークッションを取り付けて怪我を予防した。
凪の部屋にはベビーモニターという、通常は夜泣き用の子供に使うトランシーバーを置いて、何か変化があったときにすぐに駆け付けられるようにした。
暴れたときのためにベッドもセミダブルで広いものにしたから、
最悪何かあれば一緒に寝てやってもいい。
「凪、今日からここがおまえの家だ」
「……」
他人と暮らすことで俺の生活ががらりと変化すると思ったが、
実際に生活を始めてみるとそうでもなかった。
うちにきた当初、環境の変化で不安だったのか、びくびくと体を震わせていた凪だが、2-3日もすると慣れたのか大人しくなった。
担当医が心配していた寝つきも、俺が寝室で眠るまで傍にいて頭を撫でてやると安心したように眠りについて、朝まで目覚めることはなかった。
俺の方も、凪の介護があると言っても、特に体力を使うことはなかったし、
たまに見ていた悪夢も、彼が同じ家にいるせいなのか一切見なくなって
逆に良質な睡眠をとれるようになっていた。
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